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末日聖徒イエス・キリスト教会の神聖な書物である『モルモン書』の中で繰り返し触れられているテーマの一つは、神の教えに触れることの重要性です。その始めの方の章において、ある家族が自分たちの霊的な歴史と信条を守る宗教の記録を取り戻すための困難で危険な旅に出ます。その物語は、単純ですが、遠大な思想を強調しています。すなわち、人々が神聖な教えに触れるとき、信仰が育まれ、自分の本質が保たれ、将来の世代を強めることができるのです。
末日聖徒イエス・キリスト教会は、最初の宣教師が来日してから125年周年を迎えます。この125周年記念は、宣教師、教会員および翻訳者を含め、宗教の教えを日本語で読めるようにするために、時間と能力をささげてきた人々ならびに人知れず貢献をしてきた多くの人々について思いをはせる機会にもなっています。初期の賛美歌集、日本で印刷したパンフレットや総合手引き、および現在はスマートホンやウェブサイトで利用できる「福音ライブラリー」にいたるまで、翻訳された教会の資料は、人々がイエス・キリストを知り、キリストに従ううえで助けとなってきました。それらの資料は、教会員を強め、日本における教会の継続した成長を支持するうえで、重要さを増してきました。
1901-1024年:教会がまだ小さなころの翻訳の取り組み
過去を振り返ってみると、教会の「信仰箇条」とジョセフ・スミスの「最初の示現」の記録の概略の日本語翻訳が1902年に出版された「モルモニズムとモルモン(麼兒門教と麼兒門教徒)」という題名の書籍に出てくることは興味深いです。その書籍の著者は高橋五郎という人物でした。彼は、教会員ではありませんでしたが、初期の日本の聡明なキリスト教信者であり、教育者でもあり、聖書の初期の日本語翻訳に貢献した人でした。これらの翻訳は紛れもなく初期の宣教師たちにとって非常に価値のあるものでした。
聖餐の祈りの言葉とバプテスマの儀式の言葉の翻訳はそれぞれ、1902年の5月と10月に完成しました。宣教師たちは、簡単な教義のパンフレットや小冊子を翻訳し、祈りやイエス・キリストを信じる信仰、および回復などの基本的な教えについて説明しました。これらの小冊子は通常、各地で少部数印刷され、多くの場合、教会について初めて文字で触れる資料であった。現存するものは少ないが、その配布は伝道部記録や後年の教会史に詳しく記録されている。

最初に翻訳すべき教会の資料の一つは賛美歌でした。教会員数がまだ少なかった頃、音楽を通して、英語と日本語で、教えたり、礼拝したりしました。賛美歌は日曜学校に出席していた子供たちに特に人気でした。1905年には、「末日聖徒讃美歌:Psalmody of the Japan Mission(日本伝道部の賛美歌)」が集会で歌うために出版されました。この賛美歌集は66曲が含まれており、ホレス・S・エンサイン長老とフレデリック・A・ケイン長老が編纂したものです。その後、220曲の賛美歌が含まれる1915年に出版された日本語版賛美歌集、「末日聖徒讃美歌:The Songs of Zion(シオンの歌)」を含め、追加の賛美歌集が出版されました。

先のニュースルーム記事では、1909年に出版された「モルモン書」の最初の日本語版の翻訳の取り組みについて特集しました。現在、この最初の日本語版モルモン書は電子版を閲覧することができます。
この同じ初期の頃、より深い研究を行えるよう、重要な教義に関する書籍が翻訳されました。教会教義を体系的に教えている書籍であるジェームズ・E・タルメージ著の「Articles of Faith(1899年)(日本語で『信証講義』、現在の『信仰箇条))」が、ヒーバー・グラント・アイビンス長老と高橋武四郎によって、1915年に初めて翻訳されました。こうした翻訳の取り組みは、翻訳が伝道のためだけではなく、会員たちに理解を深め、教えるためのツールとなったことを示しています。
1924-1948年:現状維持
日本伝道部が閉鎖されていた1924年から1948年にかけては、翻訳の業はほとんど行われませんでしたが、既存の日本語の資料は、継続して、わずかの人数の教会員や昔の宣教師たちの間で、内々に流布しました。こうした資料は、教義や言語、慣行を保存するうえで助けとなり、第二次世界大戦終了後、伝道部が再び開かれた際、業を広げていくための土台となりました。
1948-2000年:再構築と成長をサポートする翻訳
聖典
戦後まもなく、『教義と聖約』および『高価な真珠』の選別されたセクションが、指示と教授用資料として使用できるよう、日本語に翻訳されました。1957年には、佐藤龍猪(さとうたつい)さんが『モルモン書』(当時は『モルモン経』という題名)を再度翻訳するとともに、佐藤さんが翻訳した『教義と聖約』と『高価な真珠』(当時は『高価なる真珠』という題名)が出版されました。

1990年代初期の数年間にわたり、専門の翻訳家と日本の教会員のチームがこれら3つの聖典の改訂に取り組みました。変更の内容としては、文語体表現から口語体表現への変更ならびに章の見出しや年月日の記載方法が改良されました。また、学習ヘルプ(脚注、参照先、見出し等)が追加されました。多くの点で、この改訂は、1981年に行われた英語版の標準聖典の改訂を反映していました。1995年に出版された日本語版の「3大聖典合本」は教会員だけでなく、キリスト教信者でない人や非教会員の読者にとってもさらに読みやすい聖典となりました。
2021年に、教会は日本語聖典合本(デジタル版)に新たな改訂の発表をしました。この改訂では、2013年に行われた英語版の更新が反映されました。改訂のほとんどは聖文本体ではなく、学習ヘルプに関するものでした。
日本語の旧約聖書および新約聖書に関しては、教会は、日本聖書協会発行の1955年口語体聖書の2002年度版を使用しています。
聖典ではありませんが、ジェームズ・E・タルメージ著の「Articles of Faith (1899年)(信証講義)」および「Jesus the Christ(1915年)(基督イエス)」は大いに重宝されている教義を教える書籍です。佐藤龍猪さんが「信仰箇条の研究(信証講義)」として1959年に再翻訳をしています。残念ながら、デジタル版はありません。また、印刷版は数に限りがあります。佐藤さんは、また、「キリスト・イエス」の翻訳も行い、初期版は1962年です。公式版は1976年に出版されています。デジタル版はありませんが、印刷版は教会のオンラインストアで購入することができます。
一般社会とのコミュニケーション

1970年に大阪で開催された万国博覧会にて、モルモン・パビリオンを訪れたおよそ700万人の来場者のために、教会は紹介パンフレットや展示パネルを含め、様々な日本語の資料を制作しました。短編映画「Man’s Search for Happiness (幸福の探求)」は、元々、1964-1965年に開催されたニューヨーク世界フェアのために制作されたものでしたが、日本の文化を反映したものとし、日本人のキャストと日本語ナレーションにより再度撮影されました。一般聴衆向けに制作されたこれらの資料は、家族、目的、および信仰を日本語で強調していました。そして、教会の日本における初期の大規模な翻訳作業の一つでした。
管理、礼拝およびプログラム
教会の指導用手引きの日本語版は1950年代までに利用できるようになりました。そして、『手引き-第1部』と『手引き-第2部』の日本語版も1970年代までには広く利用できるようになりました。
この時期に、重要な指導手引きや教義に関する教えも翻訳されました。その中に含まれていたものは、例えば、子供用、青少年用、および成人用のクラス手引き、『福音の原則』、『歴代大管長の教え』などがあります。『家族―世界への宣言』(1995年)ならびに『生けるキリスト―使徒たちの証』(2000年)は英語版と同時に日本語版が発表されました。
また、この時期に、教会は様々な楽曲の翻訳と出版を行いました。それには、「The Songs of Zion (1948年)」からの31曲の賛美歌、「教会の賛美歌 (1960年、1989年)」、Hymns: Simplified Accompaniments(1975年)、および子供用、青少年用、ならびにレクリエーション用の多くの歌の本が含まれていました。
心と家庭の中に浸透する

1957年は日本語の教会資料にとっての節目の年でした。上述の聖典に加えて、教会の月刊機関誌である『聖徒の道』が発刊されました。この機関誌には、日本語に翻訳された大管長会と十二使徒定員会からのメッセージや指示、日本各地の教会堂からのニュース、日本の各地の教会員の証や経験、および総大会の説教の概要が一貫して含まれていました。初期の頃(1950年代-1960年代)は、それまでの宣教師が指導した組織から、日本に在住する日本人の会員や指導者が導く教会組織への移行を反映し、分かりやすい言葉と文化的に調和した説明が用いられました。
1971年には、「Ensign(エンサイン)」という教会の月刊機関誌が世界各地の言語版(『聖徒の道』を含む)とともに発刊されたことにより、成人会員がソルトレーク・シティーから発信される教会の資料に触れる機会が著しく増加しました。機関誌『聖徒の道』は1957年から1999年まで継続されました。1999年に、教会は英語以外の言語の「Ensign(エンサイン)」(『聖徒の道』を含む)を、当時英語版しか利用できなかった「New Era(青少年向け)」と「Friend(子供向け)」を一冊の機関誌、『リアホナ』に統合し、それぞれの国の言語にて発刊しました。
会員の家庭におけるもう一つの重要なリソースであった『家庭の夕べアイデア集』が1983年に発刊されました。
デジタル時代:福音資料へのアクセスの根本的な変化
日本において教会が100周年を迎える頃には、教会の資料のデジタル版が多く利用できるようになりました。それには、CD-ROM資料、ダウンロード可能なファイル、教会の公式ウェブサイトなどが含まれます。日本語の聖典、手引き、機関誌、および説教が、特に、レッスンの準備や個人学習をするうえで、さらに利用しやすくなりました。
2012年の「福音ライブラリー」モバイルアプリの導入が転換点となりました。日本人の会員にとって、「福音ライブラリー」は、聖典、手引き、機関誌、音楽、およびメディアを一か所に統合する、統一したモバイルプラットフォームとなりました。オフラインでのアクセス、更新の同期、メモやブックマークなどの学習ツールが現在利用できるようになっています。

2019年に「わたしに従ってきなさい」プログラムが導入されたとき、日本語の資料はデジタル版が、英語版と同時にリリースされるようになりました。
2020年に、教会は、それまでの指導者のための『手引き―第1部』と『手引き―第2部』を『総合手引き:末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』に切り替えました。日本語版は、この統一総合手引きの最初の切り替えを行う言語のリストの一つでした。そして、その他の主な言語とともに定期的な更新がなされています。
教会の機関誌に関して、2021年には、それまでの成人・青少年・子供を統合したアプローチから3つの別々の月刊機関誌に切り替わりました。その3つの機関誌とは、それぞれ、『リアホナ』(成人用)、『青少年の強さのために』(11-18歳用)、および『フレンド』(3-11歳用)であり、完全なデジタル版と印刷版となりました。これら3つの機関誌の日本語版は「福音ライブラリー」で入手可能です。特筆すべきは、『リアホナ』には毎月、「ローカルページ」のセクションが含まれていることです。
もう一つの特筆すべき取り組みは、教会が直接設立し、現在も運営している大学であるBrigham Young University(ブリガム・ヤング大学)で開催される「BYU Speeches(BYUスピーチ)」の重要な説教を翻訳し、他の言語での説教ビデオを制作することです。2023年以来、1955年から2026年までに行われたディボーショナルの講演から60以上の説教が日本語に翻訳されて視聴可能になっています。もっとも最近の説教は2026年2月10日に行われたダリン・H・オークス大管長の説教です。
現在(2026年5月)進行している重要な翻訳作業は、新しい賛美歌集『賛美歌 教会と家庭用』の翻訳です。音楽的、詩的、歴史および文化的要素のすべてが複合する歌詞の翻訳は特に難さが伴います。教会職員、外注翻訳者、およびボランティアから構成される専従のチームがこの翻訳作業に取り組んでいます。すでに、幾つかの賛美歌は利用可能となっており、さらに多くの賛美歌が今後利用可能となります。
また、特に注目に値する翻訳は半年ごとに行われる教会の総大会に関係する資料の翻訳作業です。現在、すべての説教が、80か国語以上(日本語を含む)の言語にて生放送にて放送され、総大会後すぐに、ビデオと説教の文字テキストがオンラインにて利用可能となります。さらに、「福音ライブラリー」の「総大会コレクション」には、2000年以降現在までのすべての説教の日本語版があります。
今日、教会の日本語のリソースは「福音ライブラリー」ウェブサイトおよび「福音ライブラリー」モバイルアプリで利用できます。さらに、教会は、日本語のコンテンツを様々なソーシャルメディアチャネルにも積極的に投稿しています。デジタルで利用できるようになることは何十年にも及ぶ入念な翻訳の業に置き換わるものではありませんが、むしろ、それを通じて、より多くの人に届け、日本語の資料を共有したり、更新したり、研究したりしやすくなります。
今後に向けて:継続する業に対する感謝
教会の日本における125周年を記念するうえで、いかに多くの資料がこれまで日本語に翻訳されてきたかを知ると感謝で満たされます。一方で、まだなさなければならないことはたくさんあります。わたしたちは、どれほど翻訳者に感謝すべきでしょうか!主の業が日本において前進することに関して、2023年10月の総大会でのデビッド・A・ベドナー長老の説教「自分の義務の道にある」について振り返ってみましょう。
「『自分の義務の道にあり』という言葉は、『〔自分の〕言葉と〔自分の〕言語で完全な福音を聞く』ことができるよう友人や会員を助けることによって主に仕えている、世界中の霊感に満ちた翻訳者と通訳者を表しています。彼らの声や手話,翻訳された文書は永遠の真理を伝えていますが、彼らの名前を知る人は少ないどころか、感謝を表すこともあまりないでしょう。祝福として授けられている異言の賜物を通して、翻訳者や通訳者は勤勉に、無私の心で,ほとんどの場合知られることもなく奉仕をし、人々が神の言葉を読んだり聞いたりすることを通して信仰の霊的な賜物を享受できるよう助けています。」
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