ニュースリリース

教会は災害の前後,「ヘルピングハンズ」をどのように組織して提供するのか

何千人もの「末日聖徒ヘルピングハンズ」のボランティアが3つのハリケーンの直撃を受けた合衆国で支援を行う

6週間の間に,3つのハリケーンが合衆国のメキシコ湾沿岸のテキサス州南東部からフロリダ州にかけてのパンハンドル(「フライパンの柄」)と呼ばれる地域を直撃した。災害がどこで発生しようと,末日聖徒イエス・キリスト教会は災害の前後に「ヘルピングハンズ」を組織して提供している。

 教会は災害に対して最初に対応する組織の一つであることがよくある。「わたしたちは教会として〔何年にもわたって災害のための備え〕について学んできました。…すぐに対応する際,わたしたちは〔支援において〕ほんとうにうまくできています」と合衆国南東部を担当する地域福祉スペシャリストのマイケル・ラボワは語った。
                                    9月中旬にアラバマ州の沿岸に沿って上陸したカテゴリー2のハリケーン,「サリー」の直撃を受けた後,この4週間の週末,ラボワはペンサコーラにある指令センターの運営を監督してきた。ハリケーンは時速100マイル(風速約44メートル)の暴風とともに,この地域の家屋や土地に何百万ドル(数億円)という規模の被害をもたらした。

アラバマ州,ジョージア州,およびフロリダ州北部ならびに中央の教区から1,900名を超える「末日聖徒ヘルピングハンズ」が黄色のシャツを着用して,2020年10月16日(金)から18日(日)にかけて,見知らぬ住人たちを助けるために,フロリダ州ペンサコーラとアラバマ州ダフネに集まった。多くの家族での参加者を含むボランティアは倒れた木を伐り,傷んだ屋根を防水シートで保護し,ともに祈りをささげた。

4週間におよぶ週末の奉仕を通じて,6,500人以上の末日聖徒がハリケーン,「サリー」で被害を受けたおよそ4,000戸の住宅の片づけをした。ボランティアは合計でのべ13万時間の奉仕を行った。

教会による地域社会全体に対する大きなボランティアの取り組みはカテゴリー4の強大なハリケーン,「ローラ」が8月29日にルイジアナ州の南西部沿岸地帯を時速150マイル(風速約67メートル)の暴風とともに横断した後に行われた。3番目のハリケーン,「デルタ」が10月12日にルイジアナ州南西部を直撃した。

「ヘルピングハンズ」のボランティア,奉仕の必要にこたえる

メキシコ湾沿岸と合衆国南東部地域の「ヘルピングハンズ」のボランティアによる支援は生活そのものとなった。沿岸地域に住む多くの人々は隣人を何度も助けてきた。そのため,ハリケーンが自分たちの町を直撃したときには,自分たちの同胞である住人たちが助けてくれると分かっている。

今回のハリケーンで自宅が直接影響を受けなかった教会のボランティアたちはダラスやリトルロックおよびアトランタといった都市から5~6時間かけて同胞である南部の住人たちを助けに沿岸地域にやってきた。

今週末,倒木を伐る作業をしていたボランティアの一人は90歳のフランシスコ・ピザロであった。彼は,支援するためにフロリダ州オーランドの自宅から450マイル(720キロメートル)も旅をしてやってきた。ピザロはこれまで何度もメキシコ湾沿岸でのハリケーンや竜巻の被害の後の片付け作業を手伝ってきた。彼は自分の刃渡り24インチ(60センチメートル)のチェーンソーを「自分の同僚」であると説明した。ユーモアたっぷりに,彼は妻からあまり一生懸命働き過ぎないように言われていると語った。ピザロは倒木を伐る作業をしている自分の年齢を知った住人たちは「わたしは気が狂っていると単に思っているよ」と語った。彼はフロリダ州オーランド神殿の神殿ワーカーとして奉仕している。

ジョージア州ジョーンズビルからやってきたロバート・カーシャーは車で5時間かけてフロリダ州までやってきた。彼は一緒にボランティアをするために13歳の娘のミシェルを連れてきた。「ここに来て奉仕し,イエス・キリストの愛を分かち合うすばらしい機会です。わたしたちは彼らとともに祈りました。人々と分かち合い,奉仕するのはすばらしい機会です。」

暴風の被害からの助けを受けた住人たちは奉仕作業に対して感謝を示した。

スコット・マンデルの私有地では約18本の大きな木が暴風でなぎ倒された。彼は,片づけ作業は大変な作業であったが,彼の言う「イエスに従う人々の連合」による支援のおかげで仕事が楽になったと語った。

マンデルは次のように語った。「わたしはカトリックであり,モルモンとバプテストの教会員が庭の片づけを手伝ってくれました。ですから,イエス・キリストという言葉以上にぴったり当てはまる言葉はありません。神がそこにいてくださり,わたしたちを助けてくださっています。ですからただ主に感謝しています。」

ポリー・ハリソンはハリケーンに見舞われ,木が倒れたとき寝室にいたと語った。もし梁が支えてくれなかったら,わたしは押しつぶされていたでしょうと語った。「主がわたしたちを見守ってくださっています。それは確かです。そして〔「ヘルピングハンズ」のボランティア〕である皆さんが今日やってきて助けてくださいました。とても大きな祝福です。」

ハリソンは次のように続けた。「〔ボランティアの人たちは〕みな,明るく,愛にあふれ,親切にしてくださいました。わたしたちは祈りで始めて,祈りで終えました。まさしく天の恵みです。」

看護師を引退したエベリン・ウィルソンはトレーラーハウスに住んでいて,ハリケーンによって何本かの木が倒れ,自宅につながっている電線に大枝が引っ掛かかり垂れさがった状態になっていた。ボランティアが枝を切り落としたので,彼女は木を取り除く費用を節約できた。「このグループがやってきて,あの〔木〕を取り除けてくれたので,もう心配する必要がなくなりました。神が〔この〕グループを送ってくださいました」と彼女は語った。

「すぐに同盟を組み緊急事態のための調整を行う組織」(BRACE)の災害復旧スペシャリストであるリン・ドルビーは,教会からの支援に感謝していることを述べた。BRACEは緊急事態の備え,対応および復旧のための取り組みを行う災害支援組織である。

「皆さんのチームがこの大きな困難の時期に助けをしたいという完全な無私の奉仕を通して心に感動を受けたこの地域社会のすべての人のことを想像すると涙でいっぱいになりますと正直に言うことができます」とドルビーは述べた。「わたしたちがどれだけ感謝しているかは決して言葉では十分に言い表せません。」

災害に備える

合衆国の毎年のハリケーンシーズンに対する教会の備えの計画は何カ月も前に開始する。

「様々な分野の福祉スペシャリストのグループが年に一度会合します」とラボワは述べ,教会の備えのためのプロセスは毎年第1四半期に始まると説明した。

「災害に前もって備えをすれば,わたしたちはよりうまく組織できます」とラボワは付け加えた。「通常,わたしたちは指令センターやプロセスをどのように運営するかについての計画を話し合います。」

災害に見舞われた際,緊急対応の取り組みが容易に実行できるように,教会は,ハリケーンが発生する前にあらかじめ,「末日聖徒チャリティーズ」から提供された救援物資を合衆国内の地理的に重要な場所にある大規模なビショップの倉庫に保管している。合衆国南東地域に関しては,物資はフロリダ州オーランド,ニューオーリンズの近くのルイジアナ州スライデル,アトランタの少し北部のジョージア州タッカー,およびノースカロライナ州ローリーに保管されている。

「わたしたちはほぼどのような災害にもかなり迅速に対応できます」とラボワは述べた。

「大西洋あるいはメキシコ湾でハリケーンが発生しそうであることが分かると,わたしたちは福祉スペシャリストにその〔ハリケーン〕の動向を監視してもらい,地域七十人にハリケーンが上陸する可能性があるという警告を伝えます」とラボワは述べた。

するとトラックに物資を積み込まれ,一部は起こりうる災害を想定してハリケーンの進路から外れている指定の地域にも送られる。

「わたしたちはすぐにビデオ会議を行い,ハリケーンの進路に基づいた備えの計画を話し合います。わたしたちはどこに指令センターを設置すべきか,どのステーク〔教区の集合体〕が影響を受けるかを判断することを試みます」とラボワは述べた。

「わたしたちは姉妹ステークと概念で呼ぶところ,つまり,ハリケーンの進路には入っていないが近くで指令センターを設置して運営できる準備ができているステークを指定しました。」

指令センターの運営

「指令センターの業務は作業依頼の優先順位をつけ,各地からやって来るボランティアをどこに派遣するか特定することです。そうすることによって,彼らが奉仕にやって来るときすばらしい経験ができるようにすることと,また,地域社会に最大の影響を与えることです」とラボワは述べた。

ハリケーン,「サリー」のような深刻な災害の場合,指令センターはハリケーンの直撃を受けた後の最初の週末に設置される。

作業としては倒木の片づけや浸水の被害に見舞われた家の掃除が含まれる。ボランティアは傷んだ屋根に防水シートを張る作業も行う。

「わたしたちは地元の指導者と協力して働き,どの教区の人々に来てもらい,その地域で作業を行ってもらうことができるか決定します」とラボワは述べた。

指導者が何人の作業する人々が必要か決定したら,作業できる人の人数と作業依頼の数に合わせて物資が搬入される。

「これは総合的なプロセスです。物資,作業する人々,その地域で行う必要のある作業について考える際,わたしたちはそれら3つがすべてうまく合致するよう最善を尽くしています」とラボワは述べた。

「指令センターのスタッフとして,わたしたちは姉妹ステーク〔近隣の教区の集合体〕の訓練を受けた人々に遅くとも金曜日の正午までには集まるよう勧めます。わたしたちはビショップの倉庫とトラックによる配送の調整を行い,物資の荷下ろしを適切に行い準備します」とラボワは述べた。

ラボワは,教会の指導者はボランティアがテントで野営できる場所が近くにある場所を指令センターとして選ぶように努めると述べた。「場合によっては,彼らはホテルを利用する場合もありますが,作業する人々が滞在中くつろげるよう指令センターの近くに野営できる場所があるところがよいと思っています。」

ボランティアは金曜日と土曜日に宿泊し,土曜日の終日と日曜日の午前中作業を行う。

今週末,ペンサコーラの,穏やかな10月の気温に恵まれ,湿度も低く,作業するには絶好の天気であったが,それでも作業は疲労困憊させるものであった。

「わたしたちは5か所か6か所を巡って木を伐り,道路に運んだと思います」と息子と娘とともにテントに滞在しているボランティアのジェイソン・ファンズワースは語った。

ファンズワースは,倒木で困っている女性を手伝い,彼女から声をかけられる前には,彼女の隣人の家で作業をし,一日中チェーンソーで作業を行ったので,日没前に自分はもう寝る支度ができたと語った。「彼女はわたしたちに次のように言いました。『わたしはずっと助けを祈り求めていました。』それでわたしは次のようにこたえました。『いいですよ。そのためにわたしたちはここに来ていますから。』ですから,ほんとうに霊的でかつ感情的になった一日でした。」

「日曜日の朝,作業をする人々が目覚めたとき,新型コロナウィルスによる規制のため,自分たちのテントのそばでチームごとに集まって,聖餐式を行い,霊的なメッセージを聴くことができました」とラボワは述べた。

ラボワは次のように続けた。「彼らは安息日の一日をすぐに始めることができ,出かけていき,依頼を受けている作業を少し行うことができました。しかし,それによって霊的な守りを受け,安息日であることを思い起こして,週末を終えるのです。」

オンラインによる地域社会の協力

「わたしたちは国中全体にボランティアを行う人たちを抱えており,彼らは自宅にいながらインターネットと電話でつながっていて,ボランティアホットラインの電話応対を行っています。被災者はフリーダイヤルに電話をかけることができ,その情報は作業依頼としてシステムに入力され地図上に表示されます」とラボワは説明した。

何年か前に末日聖徒によって開発された第三者ツールを使用して,地元の指導者は複数のプロジェクトを跨いだボランティアの取り組みの調整を複数の慈善団体を通じて行うことが可能になっている。

ツールの利用は電話をかけるところから始まる

「必要な作業の種類に基づいて,アイコンが地図上に表示されます」とラボワは述べた。「もし木を伐採する作業または木にかかわる作業が必要な場合,木のアイコンが表示されます。もし家が水害を受け,家具やその他のものをすべて運び出さなければならない場合,長靴のアイコンが表示されます。」

指令センターにいる人々はその地図とアイコンの種類を見て,どのような種類の作業が必要か判断し,作業をする人が行いたい作業の種類とのマッチングを行ったり,あるいは作業員の区分によって判断を行ったりする。

「ボランティアの作業が実に驚くほど効率よく行われています」とラボワは強調した。

作業依頼が入った時点では地図上のアイコンはすべて赤色で表示される。地域社会の組織によって割当てが行われるとアイコンは黄色に変わり,作業が完了すると緑色に変わるようになっている。

熱意をもって,ラボワは指令センターでの自分の責任のもっともやりがいのある点を次のように説明した。「わたしにとって大好きな部分はアイコンがすべて緑色に変わるのを見ることだと思います。皆さんは地図上の赤色の部分が消えるのを見たいと思います。それはわたしたちが何かを行ったということを意味しているのです。御存じのように,それら一つ一つは助けを受けた一人一人を表しているのです。」

宣教師の価値

教会は国全体での清掃活動に専任宣教師を参加させている。

「わたしたちは専任宣教師がすばらしいリソースであることを学びました。彼らは若く,エネルギーに満ち溢れています」とラボワは述べた。「今年は新型コロナウィルスのために,彼らはしばらくの間自分たちのアパートで隔離生活をしてきました。この災害は彼らにアパートから出てきて,地域社会の中で働く機会を提供しました。」

宣教師たちは作業依頼を調べたり,作業現場の写真を撮ったりすることができる。また彼らは現場で作業をする人々と一緒に作業も行ったりする。

また,奉仕宣教師も指令センターのスタッフとして助けを行ったり,ボランティアの訓練を行ったりしている。

奉仕の文化

末日聖徒はイエス・キリストの福音の教えの中で奉仕の大切さについて学んでいる。

「わたしたちが〔バプテスマのときに〕交わす同胞に奉仕するという約束について考えると,災害が発生したら,やって来て教会員以外の人々にも実際に支援の手を差し伸べ,苦しんでいる兄弟姉妹を助けること以上に善い方法はありません」とラボワは述べた。

「皆さんは助けを祈り求めた人々の話を耳にしているでしょう。彼らは黄色のシャツを着た軍隊がやって来るのを目にし,彼らはわたしたちのことを天使と呼びます。わたしたちが行う設置のすべてや指令センターを通じて大勢の作業員の配置や管理を行う業務のすべてが,ほんとうに行う価値があります」とラボワは述べた。

「わたしたちは…どうして黄色なのか,また,どうして『ヘルピングハンズ』と呼ぶのか尋ねられます。…黄色は希望があることを象徴しています」とラボワは述べた。「皆さんが20人あるいは30人の黄色のシャツを着た人々が集まって,家の持ち主が自分一人で行えば何日もかかるような庭の片づけ作業をしてくれるのを見ると驚かれると思います。わたしたちは1時間で片づけてしまいます。周りじゅうみんなが笑顔になります。」

この数週間支援を行った何千人ものボランティアの中には10代の若者も含まれていた。彼らは教会員による奉仕という特有の文化を受け継いでいる末日聖徒の次世代を担う若者である。

ジョージア州リルバーンからやってきた16歳のエマネル・オモレグビーは次のように語った。「わたしたちがここに来たのは,奉仕することが大好きで,助けることのできる人々を助けたいからです。そして,救い主がなさったようにわたしたちも最善を尽くして人々に愛とやさしさを示したいからです。わたしたちはさらに救い主のようになれるよう努力しています。」

15歳のエスター・オールダムはジョージア州ボネアーに住んでおり,そこはペンサコーラからは車で5時間以上離れているところである。彼女の両親と弟はフロリダ州中央部にあるディズニーワールドで休暇を楽しんでいた。彼らは支援を行う機会があることを知り,休暇を切り上げ,5時間かけて車で帰宅した。再度荷物をまとめると,オールダム家族は土曜日の朝から作業できるようパンサコーラまで徹夜で車を運転した。

オールダムは次のように語った。「わたしはほんとうに人々を助けることが好きです。ここにやってきてこの作業をすることができるのはほんとうにやりがいのある経験だと思います。手助けし励まし,まだ希望があると伝えることはほんとうに善いことだと思います。」

長く続く感情と友情

ボランティアたちが奉仕を終えて帰宅すると,彼らは肉体的には疲れているが,気持ちのうえでは到着したばかりと同じような情熱を感じると話す。

「今日ここに来て奉仕できたのはすばらしい機会でした」と末日聖徒のボランティアのロバート・カーシャーは語った。彼は娘とともにジョージア州フェイエットビルからやってきて,庭のがれきの片づけと屋根に防水シートを張るのを手伝った。「わたしたちはやってきてただイエス・キリストの愛を分かち合い,人々を助けます。…わたしたちは彼らとともに祈りました。そして人々と分かち合い奉仕するすばらしい機会でした。」

「疲れましたが,報われた気がします」とカーシャーの娘であるミシェルは語った。「わたしがここに来たのは人々を助けるためです。そしてこれはわたしがすべきことです。」

「祝福がこのボランティアの人々の心の中に注がれています。彼らは心の高揚を感じ,世の中に対して影響を与えることができたように感じて帰宅します」とレボワは述べた。

「彼らは二度と会うことはないかもしれない人のために犠牲をささげることができたと感じながら帰宅します」とラボワは締めくくった。

次のハリケーンがやってくるのは単に時間の問題であることはだれもが分かっている。そうした災害が発生した際,末日聖徒とその会員はハリケーンへの備えができており,お互い同士および隣人を助ける備えができている。

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.