末日聖徒イエス・キリスト教会は2020年7月31日、教会の『総合手引き:末日聖徒イエス・キリスト教会における奉仕』の15の章の改訂を発表した。今回の改訂では、5つの章に関して大きな変更が加えられた。これは、今年2月と3月に新しいデジタル版手引きに加えられた調整に続くものである。
大管長会と十二使徒定員会の指示の下に行われている改訂作業の一環として、今日までに手引きの38章のうち16章が完全に書き直され、その他の数々の章にも小さな変更が加えられてきた。手引きの枠組みを整えることは救いと昇栄の業である。手引きに記された章は、教会のさまざまなプログラムを実施し、方針、手続きなどを地域の環境に応じて適応させるときに、世界中の指導者がキリストのような愛を持って仕える助けとなるようにデザインされたものである。手引き本文の英語版はオンラインおよび福音ライブラリーアプリで公開されている。その他の言語への翻訳はすぐに開始される。
新しい手引きは、手引き 第1部(ステーク会長とビショップ用)と手引き 第2部(全ての指導者用)に取って代わるものとなる。
2020年7月31日に発表された内容には、5つの章にわたり大きな改訂が加えられた。「長老定員会」と「扶助協会」の章は、救いと昇栄の業を中心に整えられた。各章の文字数は以前の版と比べて約半分になっている。新しい「日曜学校」と「福音を教える」の章でも、文字数が大きく短縮された。
第38章「教会の方針と指針」には、更新あるいは新しく加えられた8つの方針が含まれている。その中では、産児制限、精子または卵子の提供、不妊治療、オカルト、性教育、自殺、代理出産について記述されている(この章の他の部分は2020年2月に改訂された。)。さらに、(「医療および健康に関する方針」と題された) セクション38.7では、医療用マリファナについての項目も加えられた。これらの改訂には、なぜ教会がこれらの問題についてこういった立場を取るのかが理解できるように、教義的な説明が加えられた。
2020年2月と3月に発表された改訂と同じく、2020年7月31日に発表された改訂も、ユニットの規模にかかわらず効果的に応用でき、会員数が1600万人を超える世界的な宗教団体にとって非常に便利である。
章ごとの改訂内容の概要は以下のとおり:(訳注―一部の項目や名称は英文を和訳)
- 第5章:ステーク指導者 (わずかな改訂)
- 第8章:長老定員会長 (新しく追加)
- 第9章:扶助協会 (新しく追加)
- 第12章:初等協会 (わずかな改訂)
- 第13章:日曜学校 (新しく追加)
- 第15章:宗教教育セミナリー・インスティテュート(わずかな改訂)
- 第17章:福音を教える (新しく追加)
- 第18章:神権の儀式と祝福 (わずかな改訂)
- 第24章:宣教師の備えと推薦 (わずかな改訂)
- 第26章:神殿推薦状 (わずかな改訂)
- 第29章:教会における集会 (この章には新しいセクションを追加)
- 第30章:教会の召し (召しのチャートにわずかな改訂)
- 第32章:悔い改めと教会会員資格評議会 (わずかな改訂)
- 第35章:施設 (わずかな改訂)
- 第38章:教会の方針と指針 (38.1.5、38.6 および38.7に方針の改訂)
第5章:ステーク指導者
- 市民およびコミュニティーリーダーとの関係における地元ステーク会長会の役割が明記された。詳細は5.1.1.8を参照。
- 地域七十人は調整評議会(第29章の下に追加された項目を参照)の司会を務め、必要に応じてこの集会にステーク扶助協会会長会やその他のステーク役員を招待し出席してもらう。セクション5.1.1.5、5.4.1および5.4.2を参照。
第8章:長老定員会
- 内容は救いと昇栄をもたらす業を中心に書かれている。
- 長老定員会と扶助協会の会長会は、ワードにおける日々の伝道活動と神殿および家族歴史活動に関して責任を持つ。
- 奉仕コーディネーターと活動コーディネーターを召すという選択肢も加えられた。(第9章「扶助協会」の箇条書きにされた3つ目の項目の中に同様の変更があるので参照。)
第9章:扶助協会
- 内容は救いと昇栄をもたらす業を中心に書かれている。
- 扶助協会と長老定員会の会長会は、ワードにおける日々の伝道活動と神殿および家族歴史活動に関して責任を持つ。
- 「慈善奉仕リーダー」の召しは「奉仕コーディネーター」と名称が変更された。「奉仕コーディネーター」は「長老定員会」の章にも加えられ、両組織に同じ名称の召しが設けられた。
- 「追加の扶助協会集会」は「扶助協会活動」という名称に変更された。
- ステーク会長がステーク扶助協会会長を召し、この責任を顧問に委任することはできない。
第12章:初等協会
- いくつかのわずかな改訂として、歌の時間と託児についての新しいセクションが加えられた。また、セクション12.1.1には拡大された初等協会の目的(子供たちが「天父の愛を感じ、天父の幸福の計画について学べる」ように助ける) が加わった。セクション12.2.1.3は、デイキャンプ含めた初等協会の活動には、宿泊を伴うものは行わないことが明記された。
第13章:日曜学校
- ビショップは日曜学校会長に顧問を召すことが必要であるかどうかを決める。大きなワードでは、日曜学校の書記を召すことができるオプションが加えられた。
- 日曜学校クラス会長という役割はなくなった。
- 家庭で福音を教える責任を果たせるように、親のための教師評議会集会を開くことができる。この変更は、第17章にも記載されている。
- ビショップの指示の下、新会員、教会に戻ろうとしている会員、求道者などのために日曜学校のクラスを作ってもよい。これらのクラスの教科課程は『わたしに従ってきなさい』である。
- リソースセンター(以前は集会所図書室と呼ばれていた)についての指示のように、いくつかのユニットやYSAクラスに当てはまらない情報は、「主要」日曜学校プログラムに対する適応として提示されている。
- 今後、「集会所図書室」は「リソースセンター」、「ワード図書委員」は「ワードリソースセンタースペシャリスト」と呼ぶ。
第15章:宗教教育セミナリー・インスティテュート
- セクション15.1.2に記載されたクラスオプションについて書かれた1つの段落がわずかに改訂された。
第17章:福音を教える
- さまざまな指導者の責任は、「指導者の責任」という1つの見出しの下に統合された。
- 家庭で福音を教え学ぶことの大切さを強調するために、「家庭を中心とした福音の学習と教授」という新しいセクションが加えられた。
- 福音を教えるコースについての情報は、教師評議会集会についてのセクションに置き換えられた。
- 初等協会の指導者は、教師らがどのようにいつ教師評議会集会に出席するかについて、フレキシブルに対応してもよいことが加えられた。これには、初等協会の教師のために教会の集会の前後のいずれか、あるいは日曜日以外の日に教師評議会集会を開くオプションも含まれる。
- 教師評議会集会は、家庭で福音を教えるという責任を親が果たせるように、親のために開いてもよい。この変更は第13章にも記されている。
第18章:神権の儀式と祝福
- セクション18.3に加えられた変更には、教会の儀式や祝福の承認は、必要であれば、ステーク会長会、伝道部会長会、ビショップリック、または支部会長会の顧問によってなされてもよいことが含まれている。
第24、26章、宣教師を備え推薦する、神殿推薦状
- セクション24.5.1、24.10.3.1、および26.2.2は、伝道部会長は必要に応じて、顧問に宣教師候補者の面接や宣教師の解任を行う権限を与えることができるとしている。
第29章:教会における集会
- この章の終わりに加えられた新しいセクション(29.11)では、調整評議会集会の目的とこれらの集会に参加すべき人が誰であるかが説明されている。
第30章:教会の召し
- 召しのチャート(30.7)は、総合手引きの他の変更を反映するように改訂が加えられた。
第32章:悔い改めと教会会員資格評議会
- セクション32.9.7に新しく加えられた2段落には、まれな状況下においてステーク会長またはビショップが教会会員資格評議会に出席できない場合、どうすればよいかが記されている。
第35章:施設
- セクション35.4.3に加えられた情報には、リースの建物を礼拝所として奉献するための条件が詳細に記されている。
第38章:教会の方針と指針
- 18歳未満の未婚の親(38.1.5)
18歳未満の未婚の親についての方針が加えられた。父親になろうとする未婚の若い男性は、アロン神権定員会と長老定員会のどちらに参加してもよい。母親になろうとする若い女性は、若い女性と扶助協会のどちらに参加してもよい。これについては、該当者の若い男性と若い女性、彼らの親、そしてビショップが祈りの気持ちで考慮して決める。
道徳的な問題に関する方針の序文
セクション38.6の初めに以下の文章が加えられた:「このセクションにあるいくつかの方針は、教会が『思いとどまるよう勧めている』事柄についてである。これらに関する決断によって、会員が教会員資格を失うことは通常ない。しかし、すべての人は最終的に自分自身の決断について神に対して責任を負う。
- 産児制限(38.6.4)
産児制限についての記述には、不妊手術についても含まれているが、教会の方針には変更はない(以前の手引きにあった「不妊手術」の項目は削除された)。教会は引き続き産児制限の方法としての不妊手術の選択を思いとどまるように勧めている。子供を持つことが可能な結婚した夫婦にとっては、子供をもうけることは特権であるため、永続的な産児制限の方法を考慮する場合、夫婦は一致して共に話し合い、霊的な確認を求めるように勧められている。詳細を参照。
- 精子または卵子の提供 (38.6.7)
精子の提供についての方針は、卵子の提供を加えて改訂された。教会は精子または卵子の提供を思いとどまるように勧めているが、判断は提供を考えている者により祈りの気持ちをもって考慮するように任されている。また教会は、精子や卵子を売ることは思いとどまるように勧めている。
- 不妊治療 (38.6.9)
不妊治療についての新しいセクションは、人工授精と体外受精についての以前のセクションと統合された。新しいセクションでは、このような生殖技術は夫と妻が神の霊の子供に肉体を与えるという正しい望みをかなえるものであるとする。教会は引き続き、夫以外の精子あるいは妻以外の卵子を用いてこのような技術を用いることを思いとどまるように勧めている。しかしこれは最終的に、法律に基づいて結婚した男女の判断と祈りの気持ちで考慮されるべき個人的な事柄である。
- オカルト (38.6.12)
オカルトについてのセクションには、(これ以外にもあるが)サタン崇拝、占い、呪い、癒しを行うなどは、神権の力を模倣するものであるとしている。
- 性教育 (38.6.16)
性教育についてのセクションでは、親は正しい性にかかわる事柄について、子供に正直に分かりやすく教え、継続した会話を持つように勧めている。またこのセクションでは、子供が学校で教えられている性教育を知り、それに適切な影響を与えるようにと親に勧告している。
- 自殺(38.6.19)
自殺に関するセクションでは、自殺を考慮している人に対してミニスタリングを行う際に、より一層繊細な心をもって対応することを勧めている。自殺を考えたことのある人の多くは、身体的、精神的、感情的または霊的な苦痛から解放されることを求めている。彼らには、愛と助け、そして家族、教会指導者、資格を持った専門家からの支援が必要である。ビショップは、教会としての支援を提供すると共に、必要に応じて専門家の支援が早急に得られるように教会員を助けるよう勧告されている。このセクションでは、自殺は正しいことではないとする一方で、「自殺者の思いと行動と責任レベルを判断できるのは神のみである」と記されている。
- 代理出産(38.6.21)
このセクションには、大管長会の承認がある場合に限り、代理母が出産した子供を神殿で両親に結び固めることができるという長年の方針が記載されている。
- 医療用マリファナ(38.7.8)
医療用マリファナについての新しいセクションには、以前の内容と同様に、教会はマリファナの非医療的使用に反対であることが記されている。この方針には、医療目的でマリファナの使用が許可される場合の指針も提供されている。