テンプルスクウェアのメインストリートプラザを通り抜けるとき,建設プロジェクトを囲うフェンスの窓から170年前の様子を垣間見ることができる。
現在,ソルトレーク神殿の大規模改修工事は9か月目に入り,神殿の幼少期ともいえる1853年に,末日聖徒の開拓者たちによって設置された最初の礎石の多くがむき出しになっている。
歴史的な神殿の改修工事を請け負うディレクターのアンディー・カービーはこう語る。「この礎石を見るのは特別な機会です。それを見ていると,石が設置された当時,聖徒たちが使っていた道具や,経験していた苦難を考えさせられます。当時と今とを比べてみてください。わたしたちは現在,世界的なパンデミックに苦しんでいるかもしれませんが,当時と比べると,わたしたちの機材はまったく違っています。テクノロジーも違がっています。」
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2020年3月18日に襲ったマグニチュード5.7の地震のために,作業班は安全評価を行うために,およそ一週間の作業停止を余儀なくされた。モロナイ像や尖塔の撤去などの改修工事は予定を前倒しして行われた。一方,新型コロナウイルス感染症がプロジェクトに支障を来すことはなかった。ユタ州が建設工事を重要事項と位置付けたからである。パンデミックは作業を阻む代わりに,作業員一人一人の健康管理を促進する結果となった。
テンプルスクウェアの工事現場でスケジュールを管理するジェイコブセン建設のスペンサー・ラブレスはこう語る。「〔パンデミックのおかげで〕わたしたちは,現場で働く人々の安全管理にもっと集中するようになりました。それは物理的な安全だけでなく健康面での安全も意味します。コロナによって,いつ何時,何人の人が隣りどうしで働けるか,建物の中でマンパワーをどのように移動させたらよいかが,変わってしまいました。」
瓦礫の転用
工事現場を見ると,過去の歴史を垣間見るだけではなく,テンプルスクウェアの整然とした敷地を見慣れた人にとっては,馴染みのない泥や瓦礫,そして混沌とした別世界を見ることになるだろう。深さ40フィート(12メートル)から60フィート(18メートル)の掘削工事の準備として,
夏の間に,(神殿結婚に使われた)最上階や神殿北口,そして(カフェテリアやロッカールームなどがあった)地下施設,その他神殿エリアの北および東セクションの一部分が解体され,取り除かれた。
カービーはこう言います。「建築工程のこの段階を見ると,多少のショックを受ける人がいるかもしれません。少し汚く見えますし,神殿の周囲が大きく変化しています。でも,これは一つの段階であって,この神殿を将来何世代にもわたって使うために補強する大事な行程の一つであることを信じてください。」
神殿に接する周囲はほとんど何もなくなって瓦礫があるだけだが,廃材は転用される。教会は良い環境を保全する団体として,廃材をリサイクルに回している。作業員がコンクリートを割って鉄筋を取り除いている,コンクリートや石は粉砕器にかけられてから,この谷のほかの建設プロジェクトで再利用される。
カービーはこう語る。「わたしたちは,できるだけ多くの廃材を再利用に回して,埋め立て地に送るゴミの量を減らす努力をしています。それについては,かなりな働きをしていると思いますよ。わたしたちの計算では市が定めた最低基準を大きく上回る予定です。この過程で,環境の良い管理人として努力していることを誇りに思っています。」
基礎の一体化
神殿の基礎が露出したので, 作業班は免震システムの設置に備えて基礎の強化を図っている。この神聖な構造物に免震システムが設置されると,大きなマグニチュードの地震に耐えられるようになる。基礎石の大きさがまちまちなことから,石の状態に良し悪しが生じているため,作業員は基礎に違った角度から幅3インチ(約8センチ)の穴を開けている。北と南の壁では,このような穴の深さは8から14フィート(2.5から4メートル),東と西の壁では,10から35フィート(3から10メートル)におよぶ。次に,これらの穴には高強度のグラウト材がポンプで送り込まれ,既存の石の空隙と接合部を満たし,基礎を一つの塊として結合する。
プロジェクトの免震部分を担当するブランダン・ローリーはこのように言う。「そこまで進むと,今度はそこにドリルで新しい穴を開け,金属のロッドを基礎に挿入し,それに圧力を加えて基礎石どうしを固定します。基礎が一体であれば,〔神殿〕の周辺を工事し,トランスファービームを設置するときにうまくいきます。そうすることによって基礎が免震装置の真上に置かれ,建物の圧力を受けとめるのに役立ちます。
そのほかの重要な工程が,大規模な掘削工事の準備として実施されている。ノーステンプルストリート近くに垂直支保工杭が設置された。これは神殿施設の下層のフロアーが移動するために必要な掘削工事にともなう工程だ。また掘削作業員は神殿の基礎の周りに割線壁を構築している。これらの擁壁は,インターロッキングスチールビームの補強された杭,4インチ(10センチ)の厚さの木製のラギングおよびアンカーケーブルで構築されている。擁壁は完成すると,神殿の基礎から掘り下げた底まで達し,神殿を囲む形になる。
耐震補強を人生になぞらえる
マルコム掘削の副社長であるスコット・チェンバーズはこのように言う。「ここ一年半の間,このプロジェクトの準備をしてきましたが,歴史的に重要な意味を持つソルトレーク神殿について話してきました。わたしたちは,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員にとって重要な歴史的建造物と向き合っていることが分かりました。掘削を支える工法を計画するに当たっては,そのことをよくよく考慮しました。」
ユタ州の主都で免震システムの設置を補助したローリーは,これほどの時間と労力要する耐震補強工事に値する建物は,めったにないことを知っている。
「個人的な意見ですが,土台の免震〔システム〕を設置する価値のある建物もあると思います。これこそ,ほんとうにその価値のある建物だと確信しています。この谷で,ここまでの工事をする価値のある建物があるとすれば,正にこの建物です」と彼は語る。
基礎を強化するこの工事—カービーによると,改修工事の中で最も難しい工事—は,2020年の年末までかかる見通しだ。ソルトレーク・シティーに住む人々を襲った地震,パンデミックや強風の年に,カービーはこの耐震補強の必要性を人々の人生にもなぞらえている。
自分の霊的な土台を強化するために,わたしたちは何をする必要があるでしょうか?わたしたちは,救いの岩であられるイエス・キリストを信頼する必要があります。」と彼は語る。
このようにして,テンプルスクウェアの建設プロジェクトのフェンス越しに見える風景は,先人の信仰に満ちた遺産を見る機会でもあり,自分の内側を見るようにわたしたちを招いてもいるのである。