地域指導者らは青少年、指導者、日本の教会の将来の成長に焦点を当てながら、関東マスタープランと呼ばれる計画によって、関東平野に広がる8つのステークを5つに再編成し、東京北伝道部と東京南伝道部の境界線にも変更を加えた。
過去30年間に関東地区の信仰深い末日聖徒人口は増加した。主はご自分の教会を確立され、次世代も引き続き育ってきている。一方、日本の出生率の低下、就職や進学のために人口が都市部あるいは海外へ流出するなどのさまざまな理由から、関東のいくつかの地方ユニットではその規模が減少している一方で、都市部での教会は成長を見ている。こういった地域において教会が将来、成長し強固となれるように備えようと、アジア北地域会長会は2019年11月29日に関東マスタープランを開始した。
このプランの主な要素には、5つのステークすべてが東京神殿により参入しやすくなるようにステーク境界線を変更することが含まれていた。神殿の再奉献は、今年のすべての活動の中心となるほど大きな期待が寄せられている。再奉献の日はまだ発表されていないものの、神殿がひとたび開館となれば神殿地域の教会員は再び重要な儀式が執行される神殿に集まることになる。「過去50年間に関東地方では人口の変化があり、それに伴って教会も成長してきました。ステークと伝道部を再編成し、東京神殿をすべてのステークと伝道部の中心に置く必要がありました。今回のプランでは、神殿に焦点を当てるとともに、若い世代や地元指導者らをより大きなグループとして集め、可能な限りリソースを分かち合うことで、彼らを強めるという狙いがあります」とアジア北地域会長の和田貴志長老は語った。再編成された5つのステーク名は、東京ステーク、東京西ステーク、松戸ステーク、神奈川ステーク、千葉ステークとなった。
今回プランの一環として、移動の負担を軽減し、家族がともに過ごす時間を奪うことのないように、テクノロジーの使用も考慮された。ユニット内の特定のグループを定めて、オンラインで集会に参加あるいは自宅により近い場所にある集会所で聖餐会に参加するという方法も利用できる。そうすることで、平日の活動への参加がしやすくなり、神権者および青少年がより大きな力を持つようになる。日本の教会員は、ステーク大会や地元のワード集会などをオンラインで行うなど、積極的にテクノロジーを利用してきた。昨年の教会出席率は、それまでと比べて増加している。
地域七十人である徳沢清児長老は、地域会長会より関東マスタープランのまとめ役を引き受けた当初,様々な思いが交錯していたという。
「なぜ,今,主は再編を促されるのだろうか。どなたかを傷つけてしまうこの働きはできれば避けて通りたかった。。。主がこれから引かれようとしている(各ユニットの)境界線をはっきりと見出すことができるだろうか」 ……不安を抱えてのスタートであった。
この懸案に悩んで眠れない夜が何日も続いた徳沢長老。そんなある日,夢を見た。「多くの若い人々が皆こぞって神殿に連れ立っていく姿をそこに見ました。
その日,はっきりと『神殿を中心とした,放射線状に拡がるステーク』というコンセプトが,心に迫ってまいりました。『ステークの境界線と地続きになっている東京神殿』が実現すれば,さらに多くの若人をはじめ,兄弟姉妹が大いに祝福を受けられるということ。これが,主が望んでおられる姿であると強く感じたのです。」
早速,その霊感を基にしたステーク境界案を提示するも,何人ものステーク会長から難色を示される。「非常に困難な中でのスタートとなりました」と徳沢長老は振り返る。それでも,会合を重ねる中での共通したテーマは「主の御心を知り,それが分かったときに受け入れ,従えるように評議を続けよう」という前向きなものであった。
最初の案から調整を重ね,枝葉の部分に変更はあったものの,「神殿を中心とした(放射状に拡がる)ステーク(群)」という基本的な考え方は一貫して変わらなかった。会合で「神殿を中心としたステーク」という言葉が幾度も語られていたことが記録に残っている。「次第に,参加者の皆様の心が,主によってつながれ,まとめられていきました」と徳沢長老は振り返る。
地域七十人の伊藤彰記長老は、関東マスタープラン執行は早く進んだものの、そこには多少の不安もあったという。「例えば、新しく再編成されるステークの名前に『横浜』ではなく『神奈川』という名称が選ばれたことです。横浜は1901年ヒーバー・J・グラント長老が教会を設立するために日本を奉献した場所であり、日本の教会歴史の中で、意味のある名称です。そのため『横浜』という名前を維持すべきではないか。」という考えもあった。しかし、藤沢ステークの渡邊会長と横浜ステークの坂井会長は、今回の再編成は、決して、藤沢ステークが、横浜ステークに統合されるのではなく、この2つのステークが、新たに、神奈川ステークとして出発することの意義を力強く語った。伊藤長老は、「『神奈川』は、3つの漢字で構成されており、『神』様のことを、『奈』は、大きく示し、また「神事に用いられる果樹(リンゴの木)」の意味があり、『川』は、このステーク(園)にイエスキリストの福音を満たすという意味があります」と語った。まさに、「主なる神であるわたしは、一つの川がエデンから流れ出て園を潤すようにした(モーセ3:10)。」ステークの名称が、『神奈川』となったことは、私たちクリスチャンにとって、特別な意味があり、神奈川ステークという名のもとに、2つのステークの教会員が一致して、主の御業を進めていくことの重要性を力強く語った。
今回のプランには他にもう1つ、青少年を成功に導く道を作るという重要な意味がある。地域七十人のヘンリー・サブストローム長老は、このプランによって青少年とYSAに、地理的にだけでなく社会的および霊的に、より多くの支援を与えられるようになるという。再編成によって作られたステークには平均10のワードがあり、これによって将来の成長に向けて、よりバランスの取れた形となる。サブストローム長老は変更が発表されたとき、ほとんどのステーク大会にリモート参加しており、「この変更は正しいものである」という確認を得たという。またサブストローム長老は、和田長老が日本の神殿に関して話をした時のことについて述べた。その話の中で、和田長老は「なぜ日本には4つの神殿があるのでしょうか?」と問いかけた後、「それは日本では教会が発展し続け、信仰深い末日聖徒はもっと頻繁に定期的に神殿で礼拝する必要があるからです」と話したという。
土門淳平会長は、最近、和田長老が関東地域の教会の発展を表現するのに「広く、そして深く」という言葉を使ったことを思い起こした。ただ大きくなるだけでなく、教会員がより深い信仰、証、そして指導者としての経験を持つという意味の表現であった。土門会長は6月6日に新しくステーク会長に召された一人である。土門会長と府川雄三兄弟は共に、仕事としてマスタープランの作成に関わった教会職員である。土門会長は地域施設部長、府川雄三兄弟は地域計画/不動産マネージャーである。この二人はともに人口統計学データなどを提供し、地域指導者らによる評議を支援した。
土門会長は「再編成された東京ステークの新しいステーク会長として召しを受けたことを謙虚に受け止めています。わたしは,関東地方のみならず日本全国でシオンのステークを確立するために多くの犠牲を払われた方々に敬意を表します。地域会長会のマキューン長老は,『このような変化は,過去を振り返るのではなく,将来を見据えるためにある』と教えてくださいました。次世代の皆さんが,神殿の儀式や同じ年代の兄弟姉妹との交流を通して,主イエス・キリストへの信仰を強めていくのを見るのが楽しみです。わたしの願いは,生ける預言者ネルソン大管長が教えられたように,わたしたちが聖約の道にとどまり,個人的な啓示を求め,人生の困難に立ち向かうために必要な力を得て,家庭を中心とした福音的な生活の中で喜びと幸福を感じることです。」と話した。
今回のような大規模な変更に至るまでには、真剣な熟考がなされてきた。そこには、新しい召し、そして解任が伴う。しかし最終的には、今回の変更は神から来たものであることを御霊が証してくれたという。新しいステーク会長らの名前が伝えられると、和田長老は自分の「心が内に燃え」(ルカ24:32)るのを感じ、自分自身で確認を得ることができたという。
和田長老は最後に、「マスタープランに参加してくださったステーク会長会、地域七十人、伝道部会長にわたしたちが心から感謝していることを、地域会長会を代表してお伝えします。この地域の教会の将来を考えながら、私心を忘れて一致して働いてくださいました。このプランが進む途中で、地域会長会は自分たちの考えを中央幹部に報告し、さらなる改善に向けてのフィードバックをもらっていました。わたしたちは、大管長会、十二使徒定員会、管理ビショップリックから全会一致の承認を2021年5月に得るまで、定期的に対話を続けました」と述べた。
また、「今までに教会の発展に携わり、信仰深く奉仕してくださった指導者たちに感謝しています。彼らの犠牲のおかげで、次世代の教会を考えることができます。わたしたちは救い主の愛を感じ、プランの初めから再編成を完了するまでの間、主の贖いの力に導かれてきたと感じています。今回の変更に伴い、すでに新しく召された人、また今後数週間のうちに召されることになる多くの指導者らが、召しを大いなるものとし、青少年を強めるために尽力してくださることに感謝しています」と和田長老は続けた。