末日聖徒イエス・キリスト教会の十二使徒定員会会員であるダリン・H・オークス長老は,信教の自由を強化,擁護するために団結し,「足並みをそろえて同じ道を進む」よう,あらゆる宗教の信者に呼びかけた。その話に耳を傾けた人々についてオークス長老は,これまで彼がこのテーマで話をした人々の中で最も影響力のある人々であると語った。
「信教の自由は市民の基本的な権利であり,神と神の教えを信じ,宗教を実践することは,人生の最も基本的な指針です。」オークス長老はそう述べた。
オークス長老は5月16日(木曜),ニューヨーク市で開かれた「宗教自由のためのベケット基金」年次授賞式において,宗教指導者など500人以上に向けて話した。ベケット基金は,アメリカにおける伝統的な宗教文化を表現する自由を守る公益団体である。
その式で,オークス長老は名誉あるカンタベリーメダルを受賞した。信教の自由を守るために勇敢に働いた人をたたえるこのメダルの名称は,トーマス・ベケットがヘンリー2世に逆らって信教の自由を擁護した場所である大聖堂の名前にちなんで名付けられた。
シカゴ大司教であるフランシス・ジョージ枢機卿がオークス長老にメダルを授与し,次のように述べた。「愛する友人の皆様,わたしたちは今宵,わが国の法律が定める信教の自由を擁護する偉大な指導者の一人をたたえます。カトリックと末日聖徒イエス・キリスト教会の会員が公の場で協力して人類の生命と尊厳を守る機会が増えてきています。わたしたちに共通の原則と関心事において協力することを通じて,わたしはオークス長老と個人的に知り合いました。」
ジョージ枢機卿はさらに,オークス長老のような人物がいるおかげで,アメリカの未来における「信教の自由に希望を持つことができるのです」と語った。
プリンストン大学教授でベケット基金理事のロバート・P・ジョージ氏もインタビューの中で同様のことを語り,「今夜は,末日聖徒の指導者でもありアメリカの偉人でもある人物をたたえる特別な夜」と述べた。ロバート・ジョージ氏は,オークス長老を模範者であると称賛し,次のように語った。「オークス長老は,優れた判断力と指導力を持つ弁護士であり,神を深く愛する人,偉大な証を伝える神の人です。彼はわたしのようなカトリック教徒や福音派の人々,また他の宗教を持つ人々が,尊敬してやまない方です。」
オークス長老は聴衆に,過去半世紀の間,アメリカ人の生活において宗教の影響力が減少してきていることに学者たちが気づいていると語った。「この半世紀において,一般的な見地から信教の自由に対する保障が弱められているように思われます。信教の自由は『政治的公正さ』という勢力に包囲され,他の優先度の高いものに取って代わられようとしています。」
オークス長老は「信教の自由を長期的に維持するためには,一般の人々の理解と支持が必要です」と説明した。さらに,アメリカにおいて信教の自由に最も無関心なのは30歳未満の人々であるという最近の調査結果に懸念を表した。今後5年以内に信教の自由への規制が強まると考えるのは,30歳未満ではほんのわずかだということである。「若い人たちへの教育をもっと重視しなければなりません」と長老は述べた。
信教の自由を守ろうとする心強い兆候
オークス長老は,信教の自由に関して憂慮すべき傾向がある一方で心強い兆候もあると語った。例えば,信教の自由を守るためのベケット基金の成功,また,USカンファレンス・オブ・カトリックビショップやリック・ウォレン主任牧師など宗教界の有力者たちによる擁護活動があり,オークス長老はウォレン氏の言葉を引用し,「信教の自由は今後10年間の公民権運動のテーマとなるでしょう」と語った。
オークス長老は,アメリカ市民が信教の自由の重要性に目覚めつつあるという喜ばしい兆候についても語り,その一例として,アメリカ国民全体の4分の1が,憲法で保障されている基本的人権の中で存続が最も脅かされているものが信教の自由であると考えているという調査結果を挙げた。
ベケット基金会長のウィリアム・P・ムマ氏はインタビューの中で,信教の自由に関して楽観的な考えを持つことができるのは,モルモンなど,他の教会との相互協力があるからだと語った。
受賞記念晩餐会に先だち,ムマ氏は次のように語った。「モルモン教会やカトリック教会が経験している事柄は,この国全体で何が起こっているかを表しています。15年前あるいは20年前に,ドラン枢機卿と末日聖徒の会員が定期的に会合を持ち,親睦を深め,協力するようになるだろうと,いったいだれが想像したでしょうか。わたしたちはともに同じ目的において協力したいと願っています。信教の自由を守るにはそれが絶対に必要です。カトリックやモルモンに限らず,すべてのアメリカ人にとって必要です。それはとても楽観的な道です。」
ジョージ氏はこう語った。「世界中で信教の自由が脅威にさらされている中で忘れてはならないことは,信教の自由とは非常に貴重な自由,苦労の末手に入れた自由です。しかしその自由は,あまりにも簡単に失われ,損なわれ得るものであり,他の目的や目標の犠牲となってしまうものです。ですからわたしたちは気を抜いてはいけないのです。」
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信教の自由はあらゆる宗教を信奉する人のためのものであり,異なる意見に寛容であることが重要
自らを信仰深いと称しながらどの宗派にも属さない人が増えていることを踏まえて,オークス長老は次のように語った。「信教の自由を,教会やシナゴーグなど宗教組織だけに利益をもたらすものだと捉えるべきではありません。信教の自由は宗教団体に属している人,いない人,また宗教的な行為を行っている人,いない人を問わず,信仰ある人を守るためにあると理解するべきです。」
オークス長老は宗教関係者や宗教組織に対し,「信仰を実践し,公共の場や法廷において自らの良心を訴える憲法上の権利を強く主張する」ように要請した。また,信教の自由を擁護する人には,「自分が信じる大義が真実であっても,異なる考えの人に寛容な態度を示す義務から解放されるわけではないことを常に覚え,イエス・キリストの模範に従うように」と語った。
オークス長老の話全体の原稿を読むにはtranscript を,またこの行事全体を通して視聴するにはB-roll and SOTsを見てください。
B-roll and SOTs - Francis Cardinal George and Elder Dallin H. Oaks (ダウンロードするにはここをクリックしてください。)