チャーチ ニュース
記事:クリスティン・ラップライ
4度目の出場となったパラリンピック選手ジェイソン・スミスは今週末金メダルを獲得し,オリンピックスタジアムのトラックでウィニングランを飾った。米国の車いすラグビーチームはパラリンピック大会の最初の試合には敗れたが銀メダルを獲得した。
また,末日聖徒イエス・キリスト教会に所属しているパラリンピック選手が大会4日目と5日目にフェンシングと水泳競技で自己記録や自国のパラリンピック種目での新たな歴史を刻んだ。
陸上競技
8月29日(日),陸上男子100メートルT13(視覚障害者部門)において,2016年のブラジル・リオデジャネイロパラリンピックで金メダルを獲得したアイルランドのジェイソン・スミスが100分の1秒差でぎりぎり金メダリストの地位を守った。スミス選手の記録は10.53秒で本人にとって今シーズンのベストタイムであった。スミス選手はレースでリードを保っていたが,アルジェリアのスカンダー・アスマイ選手が後半50メートルでその差を縮めてきた。アスマイ選手の記録は10.54秒であった。
スミス選手にとって,パラリンピック陸上男子100メートルT13の種目は今回で4回連続の金メダルとなった。
スミス選手(34歳)は2012年のロンドン大会で10.46秒という世界記録とパラリンピック記録の両方を樹立した。彼は,パラリンピック陸上男子100メートルT13部門における金メダルを2008年の北京大会,2012年のロンドン大会,2016年のリオ大会で獲得している。彼は8歳のときにスターガルト病の診断を受け,盲人と認定されている。
チリのマルガリータ・ファウンデス選手は8月29日(日)に行われた女子1,500メートルT11(視覚障害者部門)の予選で,ガイドランナーのフランシスコ・セゴビアの伴走で走り自分の今季のベストタイム5分46秒50の記録を出した。T11部門のレースではガイドランナーは手または手首を走者とつないで走ることが義務付けられている。ファウンデス選手は全体で10番目であった。上位6名が月曜日の決勝で走る予定である。
チリのサンティアゴ出身のファウンデス選手(33歳)は5歳のとき,変性の眼の障害である網膜色素変性症の診断を受けた。東京パラリンピックは彼女にとって2回目のパラリンピックである。
車いすラグビー
ジョシュ・ウィーラー選手を含む米国チームは8月29日(日)に行われた金メダルをかけた英国との試合の結果,銀メダルを獲得した。米国チームが試合での最初のトライ,すなわちポイントを獲得したが,英国チームは同点に追いつき追加点を奪った。米国チームは第3,第4クオーターで何度か同点に追いついたが,車いす同士が激しくぶつかり合う激しい試合の中,英国が54対49で勝利した。金曜日に行われた予選リーグの試合では,米国チームがリードを許していたたが最後の土壇場で英国に勝利した。
金メダルをかけた試合で,ウィーラー選手(41歳)は32分間,つまりすべての試合時間,出場し,21回のトライに成功した。また,ペナルティーボックスにも2回ほど入った。アリゾナ州在住のウィーラー選手は15年前,バイク事故で首を損傷し,下半身不随となった。
米国は8月28日(土)に行われた準決勝でオーストラリアに49対42で勝利した。オーストラリアは2016年にブラジル・リオデジャネイロで開催されたパラリンピックで2回のオーバータイムを経て金メダルを獲得した。その大会でも,ウィーラー選手を含む米国チームは銀メダルを獲得した。土曜日,米国はオーストラリアとの試合でリードし,ウィーラーは28分間プレーし,9回のトライを成功させた。
英国は欧州チームとしてパラリンピックで初の金メダルを獲得した。日曜日に行われた銅メダルをかけた試合では,日本がオーストラリアを60対52で下した。
車いすラグビーはラグビー,フットボール(ボールを投げるのとボールをゴール地点に運ぶ),バスケットボール(ドリブル),およびホッケー(ペナルティーボックスと互いにぶつかり合う)の要素を取り込んだ競技である。車いすラグビーの選手のクラス分類は2.5点(最も軽度は3.5点)で,各チームは4名のプレーヤーを出すことができ,最大で8名がコートでプレーすることが認められている。
水泳
8月28日(土)に行われた女子100メートル平泳ぎSB6(運動機能障害部門)のレースに出場したロールデス・アレハンドラ・エバール選手はドミニカ共和国代表としてパラリンピックに出場した最初の水泳選手となった。彼女の記録1分53秒25は組で6位,全体では11番目の記録であった。11名の中,上位8名が決勝に進んだ。
エバール選手(32歳)は初のパラリンピックで競技を行っている。彼女はドミニカ共和国のアズア出身で,生産技術者である。彼女の身長は約130センチで,骨がもろい病気である概要骨形成不全症を患っている。また,この病気は水晶骨疾患としても知られている。
エバール選手は9月1日(水)に行われる女子50メートル自由形S8の予選と決勝,および9月3日(金)に行われる女子100メートルバタフライS8の予選と決勝にそれぞれ出場する予定である。
ゴールボール
ダリル・ウォーカー選手を含む米国チームは予選リーグで8月27日(金)に行われた日本との試合に敗れたが,8月29日(日)のアルジェリアとの試合では13対5で勝利をおさめた。ウォーカー選手はペナルティースローを含め2点を獲得し,15分間プレーをした。
フロリダ州出身で,インディアナ州でトレーニングを行っているウォーカー選手は,色素欠乏症を患っており,それが原因で視力障害があり,盲人として認定されている。彼は2016年のリオでのパラリンピックで銀メダルを獲得した際チームの一員であった。
ゴールボールという競技は視力障害を抱えている人々のための競技である。バレーボールコートと同じぐらいの大きさのコートに紐の入ったラインが引いてあり,ボールの大きさはバスケットボールぐらいの大きさで鈴と穴が付いている。コートでは各チームがそれぞれ3名ずつプレーをすることができ,すべての選手は視力と視野に差がでないようにアイシールドを着用する。選手は幅9メートル,高さ1.3メートルのゴールを守りながら,ボールを相手のゴールに投げ入れて得点を獲得する。試合は12分ハーフで行われる。
ゴールボールの参加10チームが組に分かれ,各チームは予選の組ですべてのチームと対戦する。米国チーム(2勝1敗)はブラジル(3勝1敗),日本(3勝1敗),アルジェリア(0勝3敗1分),およびリトアニア(0勝2敗1分)とともにA組に入っている。各組の上位4チームが準々決勝に進出できる。
シッティングバレーボール
フィールドプレーヤーのペイドン・ベア選手を含むカナダは8月29日(日)に行われた予選リーグA組のイタリアとの対戦においてセットカウント3対1で勝利した。カナダは最初の2セットを25対16,25対14で勝利し,第3セットは15対25で敗れ,第4セットを25対18で勝利した。ベアは第2,第3,および第4セットに出場した。
アルバータ州出身のベア選手は大学のサッカー選手であったが,芝刈り機の事故で右脚の膝下を切断するケガを負い,その後,シッティングバレーボールを始めることになった。
シッティングバレーボールは通常の屋内で行うバレーボールと似ており,ネットは低く(女子の場合,高さはちょうど1メートル余り),コートは若干小さめである。
女子シッティングバレーボールは8チームが二つの組に分かれ,各チームは予選リーグで3チームとそれぞれ対戦する。カナダ(1勝1敗)はイタリア(1勝1敗),ブラジル(2勝0敗),および日本(0勝2敗)とともに予選A組である。各組の上位2チームが準決勝に進む。
車いすフェンシング
女子フルーレ団体トーナメントで8位と健闘するとともに,シェルビー・ジェンセン選手とチームメイトであるエレン・ジェデス選手とテリー・ヘイズ選手はパラリンピックにおいて2004年以来初となる米国女性フェンシング・フルーレ団体戦参加という米国のフェンシングの歴史に新たな歴史を刻んで団体戦を終えた。
また,この3選手は2004年以来初のエペ団体戦に参加した米国女性チームでもあった。
Olympics.comによると,フルーレは3種類の剣の中で最も軽い剣であり,コートソード(礼服に身に着ける剣)に由来している。
予選では,8つのチームが二つの組に分かれ,米国チームは8月29日(日)にイタリア,香港,およびウクライナチームと対戦した。イタリアチームが銅メダルを獲得し,香港は4位であった。
各試合は9つの対戦で構成されており,各フェンサーは相手チームの3名のフェンサー全員と対戦を行い,各対戦とも最大3分間である。各フェンサーは床に固定されている車いすに座って競技を行う。上半身を動かして,攻撃,防御,パリイ(受け流し),剣の交差を行う。
5回全米チャンピオンとなったソルトレーク・シティー出身のジェンセン選手は7歳のときに脳梗塞を患い,右半身不随となった。彼女は15歳でフェンシングを始め,左手でフェンシングを行う。初のパラリンピック選手として婚約をし,9月に結婚する予定である。ジェンセン選手はサーブルとエペの個人戦とエペ団体戦に出場した。
エペはフェンシングの3種類の剣の中で最も重い剣であり,決闘用の剣のような剣である。サーブルは騎兵の剣に由来している。