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2024年10月17日,東京の目黒雅叙園にて,教会がバックアップするFamilySearchTM主催のレセプションが開催された。招かれたのは,これまでファミリーサーチと様々な協力関係を結んできた,また今後の協力が期待される団体の代表者の方々である。
教会からは、アジア北地域会長会のジョン・A・マキューン会長夫妻、第一顧問のJ・キモ・エスプリン長老夫妻、家族歴史担当中央幹部七十人のK・ブレット・ナットレス長老夫妻、また地域七十人の原伸二郎長老、今井裕一長老夫妻も出席した。
レセプション会場の前には、ファミリーサーチを様々な側面から紹介するパネルと、デモンストレーション用のモニターが展示され、スタッフがゲストに説明した。
このレセプションは,アジア北地域のファミリーサーチによる2,500万枚の画像記録撮影達成を記念して開かれた。ファミリーサーチは様々な家族歴史資料の撮影とデジタル化プロジェクトを長年にわたって続けている。それらの記録は,神殿の業のみならず,今や貴重な社会的資産として様々に活用されている。
平和の礎(いしじ)プロジェクト
沖縄県営平和祈念公園には,太平洋戦争の沖縄戦で亡くなった約24万人の名前を刻む「平和の礎」がある。日本人のみならず,朝鮮半島出身者やアメリカ人など国籍を問わず刻まれている。それらの名前はこれまで公園内の平和祈念資料館でしか閲覧検索ができなかった。
今年7月,この24万人をデジタル化してファミリーサーチに加えるプロジェクトが始まった。全国の教会員420人のボランティアが参加し,10月時点で21万人の入力を終える。ボランティアの3割が若い世代であり,彼らはスマホなどのデジタル機器を駆使して作業を推し進めた。
また、沖縄軍人地方部のアヴィー・フランシス姉妹(14歳)は、約90人のボランティアを集めて、平和の礎に刻まれているアメリカ人戦没者約1万4,000人の名前をデジタル入力するプロジェクトを組織・運営した。
図書館との提携
こうした記録は他の団体とも共有されていく。この日のレセプションには沖縄県立図書館の原 裕昭(はら・ひろあき)さんが登壇し,「Finding Okinawan Rootsプロジェクト」について説明した。沖縄県立図書館では,沖縄県民の記録を収集し,ルーツを調べる照会と相談に応えている。明治から昭和初期までの移民渡航記録データベースもある。沖縄県は特に移民の多い県として知られ,文字通り世界中の国々に沖縄県人会がある。県立図書館はそうした幾つもの外部団体や研究機関と提携しながら資料の充実を図っている。ファミリーサーチもその情報源の一つである。ソルトレークにあるファミリーサーチ図書館とも提携し,資料の共有や翻訳プロジェクトが進んでいく。平和の礎のデータも今後,沖縄県立図書館と共有される予定だ。
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フィリピン残留日本人孤児支援
レセプションでは,NPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンターの猪俣典弘(いのまた・のりひろ)代表理事も登壇した。この団体は,太平洋戦争終結後フィリピンに残された日系人残留孤児を探し出し,証拠を揃えて日本の家庭裁判所に提出,日本国籍の回復を支援している。
フィリピンに残された遺児たちは,米軍やフィリピン人ゲリラの迫害から逃れるために日系人であることを隠して生きてきた。そうして戦後,日本国からも忘れられた無国籍の「棄民(きみん)」となる。戦後80年を目前にして,それらの人々が存命のうちに国籍を回復しなければならない。猪俣さんらスタッフは彼らにインタビューし,幼少期の記憶を手掛かりに日本人の父親との繋がりを証明しようとする。
フィリピンの離島,リナパカン島に住むモリネ・エスペランサさん,リディアさん姉妹の場合,父親「盛根蒲太(もりね・かまた)」さんのパスポート記録が残っていた。しかし,家庭裁判所で繋がりを認められるには法的書類の提出という高い壁がある。行政の出生証明書か両親の婚姻証明書が必要だが,それらは戦禍や天災で失われていることが多い。モリネさん姉妹の両親の婚姻記録もフィリピンの役所には現存せず,進展しないまま数年の歳月が流れた。
ところが,ファミリーサーチには数十年前に撮影されたと思しき婚姻記録が存在した。夫の欄には「Kamato Marino:Japanese」と記されている。日本語の発音が記録者にはこのように聞こえたのであろう。家族歴史部エリアマネージャーの関口 治(せきぐち・おさむ)兄弟は言う。「フィリピンの当時のファミリーサーチ職員が撮影保存していたんです。後年,このような形で役立つとは想像しなかったでしょうね。」
さらに,沖縄県立図書館の渡航記録データベースに蒲太氏と弟の記録があり,弟さんの孫の証言を得て父子関係の証拠とした。今年9月,那覇家裁はついにモリネさん姉妹の日本国籍回復を認めた。
残留孤児の平均年齢は84歳,日本との繋がりが証明されないまま亡くなっていく人も多い。5年前に1,069人と把握されていた人数は401人に減少した。「もうここ2,3年が勝負だと思っています」と猪俣さんは語る。
フィリピン残留日本人孤児への支援活動の詳細は,テレビ朝日系の2 本のドキュメンタリー番組で紹介され,World Media Festival 2024で銀賞を受賞した。エンドクレジットには協力として、教会とファミリーサーチの名前も記されている。
エリヤの御霊
このようにファミリーサーチの記録は社会に貢献し,一般の人々の関心を先祖へ向ける一助となっている。関口兄弟はこう話す。「教会員の場合は,神殿に提出するための名前を懸命に調べて,エピソードや写真などの『思い出』収集をあまりしません。しかし,一般の方の家族歴史における関心の対象はエピソードの記憶です。
たくさんの名前を出すことだけでなく,一般の方のように,先祖一人一人の人となりや人生の軌跡にも心を向けると良いでしょう。それが本当の意味で『先祖の心を子孫に,子孫の心を先祖に向けさせ』※1る,『エリヤの御霊』を招くことになるのではないでしょうか。」
レセプションに登壇したエスプリン長老は、スコットランドから米国ユタに渡った19世紀の高祖父ジョン・エスプリンの生涯について語った。ナットレス長老はスクリーンに祖母の写真を掲げ、彼女が使徒のために得意のチョコチップクッキーを焼く機会を得て、5種類ものクッキーを届けたところ、個人的な感謝の手紙が届いたという心温まるエピソードを語った。
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ドキュメンタリー番組の制作現場で
某公共放送に家族歴史関連番組がある。この番組シリーズでは,リサーチ段階でファミリーサーチの持つ資料を何度も手がかりにしたという。ファミリーサーチは番組制作プロダクションから相談を受け,調査に協力してきた。「彼らもプロですから,8割方はすでに調べてあるんです。残り1,2割で行き詰まった際にファミリーサーチへ相談があります。わたしたちは特定の問い合わせについて調べて答えるだけですから,番組内でどの程度使われたかは分かりませんが」と関口兄弟は言う。
ディレクターの金本麻理子(かねもと・まりこ)さんは,今年のルーツテックに招かれ,著名人の先祖リサーチの現場について語った。こうした番組では,調査しながらシナリオが形作られていく。集める資料は膨大で,1本の番組にかける調査期間は4か月から1年にも及ぶという。「遠くの先祖もいいけど,祖父母や両親の話を丹念に調べます。そこからご本人との共通点や,ドラマチックな話が浮かび上がってくることが多いので,大事にしています」と金本さんは語る。「皆さんも,両親や祖父母がお元気なうちに,生い立ちや青春時代についていろいろ聞いておかれると,とてもいいと思います。番組内でも著名人の方が,『時代を超えて今の自分と繋がっている!』と感動されることが多くあります。」
人口の20%を目指して
関口兄弟は,この夏のfsy長崎セッションに参加し,家族歴史セッションで青少年たちにこう問いかけた。「あなたのおばあさんの旧姓を知っていますか?」
「知っている子はまずいません。青少年全体で1人か2人です。ファミリーサーチでは,国ごとに人口の20%の人数の記録を集めるように推奨しています。日本の場合はざっと2,400万人です。それだけの名前がファミリーサーチに入ると,祖父母の名前を検索したときヒットする。ファミリーサーチを使って家族歴史探求ができるようになるんです。ですから,古い記録もさることながら,近代の記録を集めることが大切なんです。」そう関口兄弟は語る。
記録の収集には墓石も有力な情報源となる。仏教寺院やカトリック教会など宗教団体が管理している墓地の場合は,その団体の撮影許可が必要だが,自治体による公営墓地は撮影できる。東京都の8つの公営墓地だけで少なくとも100万人の名前が刻まれており,ボランティアを募って撮影プロジェクトが始められるという。日本全国すべての墓地は87万か所,お墓の数は約5億,そこに15億人の名前が刻まれていると推定される。
「墓マイラー」の広がり
この日のレセプションには、文芸研究家・YouTuberの「墓マイラー」カジポン・マルコ・残月(ざんげつ)さんも登壇した。墓マイラーとは、歴史上の人物や著名人の足跡に思いを馳せてお墓巡りをする人のことで、「墓参り」という言葉にかけてカジポンさんが命名した。彼は世界中の著名人の墓を自費で訪問し続けており、37年間で100か国2500人以上の墓巡礼をし、この分野の開拓者としてネット界隈で知られている。その体験の積み重ねから実感したことは、「人間は文化や国籍が違っても、相違点より共通点の方が“はるかに”多い」ことだという。
カジポンさんの活動には、ファミリーサーチの提携団体である「Find a Grave」の提供する情報が大変役立っている。かつては現地での聞き込みを手掛かりに体当たりで著名人のお墓を探していたが、Find a Graveのサイトでは世界中の人々のお墓の情報が検索閲覧できる。著名人の名前を打ち込むとお墓の所在地も表示され、墓マイラーにとっては宝の山のようなサイトである。そうした趣味を持つ人の輪は広がり続けており、10月19日に行われたカジポンさんの上野でのオフ会には25人ほどが集まった。彼らは著名人の墓を巡り、カジポンさんの名調子による故人の生涯の解説に耳を傾ける。
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2024年は,9月の時点でアジア北地域のファミリーサーチ新規アカウント登録数が約1万7,000人に達した。そのうちの95%は教会員でない人々である。前述の公共放送の家族歴史番組や歴史ブームも影響してか,自分のルーツに関心を持つ一般の人々は増え続けている。「子孫の心を先祖に向け」る時代はまさに到来しているのである。◆
※1 ─ 教義と聖約110:15;マラキ 4:6 も参照