ニュースリリース

善意と信仰によって繋がり、奉仕する

~下関市・北九州市で輝く「いのちの関門ネッツ」~

2024年12月7日、フードバンクや子ども食堂等、生活困窮者の支援者を繋ぐ市民団体「いのちの関門ネッツ」*1の3周年記念シンポジウムが「生活困窮者の食と住まいを考える―制度のはざまをどう支えるか」をテーマに山口県下関市で開催されました。会場となった海峡メッセ下関の一室に市議会議員をはじめ80人を超える聴衆が足を運び、下関市と北九州市における支援の現状と課題の報告に耳を傾けました。
  
この日司会を務めたのは、同団体メンバーで山口地方部会長・福永健二兄弟*2(下関支部)です。福永兄弟以外にも、団体代表を務めるカトリック・イエズス会の中井淳神父をはじめ、プロテスタントや天理教といった異なった信仰を持つシンポジストが参加しました。無私の奉仕の精神が人々を結び付け、生活上の困難を抱える人々に仕える機会を創り出しています。
  
  
聖霊の導きによって誕生した「いのちの関門ネッツ」
「いのちの関門ネッツ」(以下関門ネッツ)は2021年11月、中井神父の声かけにより立ち上げられました。下関市と北九州市で生活困窮者支援活動に携わる人々のネットワークを共有し、結束しようという目的の下に活動しています。
メンバーは普段、それぞれの分野で支援活動を行っています。福永兄弟は勤務先である地域包括支援センター*3で、妻の馨姉妹はフードバンクグループ「リビング下関」で事務作業のボランティアを行っています。ホームレス支援を行う人や外国人留学生や実習生の支援に携わる人など、活動内容は様々です。「(関門ネッツには)行政の支援の網にかかりにくい人たちに手を伸ばしていきたいという理念があるんです」と福永兄弟。生活に困窮し、食事や住む場所に困難を抱える人々の問題を解決するためにそれぞれの知恵や工夫、人脈を持ち寄り協働しています。
社会の片隅で人知れず問題を抱えている人々に手を伸ばす――それはまさに、イエス・キリストが地上で行われた「よい働き」*4です。中井神父は、後に関門ネッツへとつながる支援活動を始める際、聖霊の導きを感じたそうです。「コロナ禍になってから生活困窮者の問題が深刻だという話をしていたときに、ずっとホームレス支援をされている方から『せっかく場所(ロクスひよりやま*5)もあるんだから、あなたもなにかやったらいいじゃないですか?』って言われたその声に聖霊が働いているのかなと(感じて)。……子ども食堂を立ち上げても子どもが来ないとか、いろいろ大変なことはありましたけれども、いつも祈って、主イエス・キリストに支えられてやってきた実感があります。」
   
主が用意された「繋がり」を通して
立ち上げ期から事務局として夫婦で活動に携わってきた福永兄弟も「いのちの関門ネッツ」の活動に主の御手を感じてきました。
  
以前より、関門ネッツには「下関市にホームレスの方を収容するシェルターを作る」という目標がありました。そのために、福永兄弟は包括支援センターの仕事を通じて知り合った不動産会社の代表取締役の女性に関門ネッツの定例部会への参加を依頼します。快諾した彼女は定例部会の場で、シェルターを作ることが夢だったと語ってくれました。また、偶然にも彼女は中井神父と交流があったカトリック教会の信仰深い女性のお孫さんであったこともわかりました。
   
「代表取締役の方は、おばあさまが教会に行っておられたことは特に意識しておられないんですけども、その奉仕の精神は世代を越えて残っているんです」と福永兄弟は喜んでいます。
シェルター作りのための政治的な繋がりを求めて、当選したばかりの市議会議員の知人に定例部会への参加を依頼したところ、彼の祖母も熱心なカトリックの信者だったということもありました。
「何も知らずに声をかけたらキリスト教に縁のある方だったということがよくあって。隣人を愛するということを主が本当に喜ばれているというのが、関門ネッツの活動を通してはっきりとわかりました。」(福永兄弟)
  
  
互いの信仰に良いものを見出す
関門ネッツの活動がきっかけとなり、下関支部とカトリック教会の間にも交流が生まれました。中井神父は2021年以降毎年のように下関支部のクリスマス会に出席し、霊的なメッセージを分かち合っています。
  
2022年4月のイースターパーティーでは、カトリック教会の会員たちの寄付で購入された食事支援用キッチンカーが、下関支部の駐車場でお披露目されました。
「キッチンカーを使って、温かい食事を楽しく提供する場を作りたい」という中井神父の理想に共鳴したカトリック教会の人々の善意の寄付により、半年足らずで250万を超える額の寄付が集まり購入の運びとなったそうです。
パーティー当日は、下関支部の会員が用意したぜんざいをキッチンカーで温めて配布。集まった地域の人々は温かいぜんざいに舌鼓を打ちながら、下関支部の会員と宣教師によるオカリナとクラリネットの演奏に耳を傾けました。「市議会議員や社会福祉協議会の方々も来てくださったんですが、キッチンカーがあることでおしゃれな空間を感じてくださったみたいです。支部の周りにある建物に楽器の音が反響するのも非常に趣があり、イースターパーティーは好評でしたね」と福永兄弟は振り返ります。
   
たびたび訪れる下関支部の印象について、中井神父はこう語ります。「若い子たちが結構いて、魅力を感じてこの教会に来ているんだな、というのをすごく感じます。みなさん私の存在を喜んで受け入れてくださって、そのままでいていいよ、という温かい雰囲気がありますね。」
   
福永兄弟は、ほかの教会の会員が主催するボランティアに参加して衝撃を受けたといいます。
2025年2月、福永兄弟は中井神父とプロテスタントの会員が中心となって行われている炊き出しと見回りのボランティアに参加しました。夜の下関駅付近でお弁当を配布し、ホームレスの人々に声をかけるという活動です。福永兄弟が衝撃を受けたのは、参加している人々の態度でした。
「ボランティアに携わるときには普段の生活とは違うことをするので、少し気負っていい意味で構えてしまうところがあると思うんです。でも中井神父さんやみなさんの奉仕されている姿は違っていて、普段の生活で私たちが水を飲んだり深呼吸したり、生きる上で当然すべき動作の一環として奉仕活動をされている印象を受けました。
ボランティアという英語の語源には『自発的な』という意味がありますが、皆さんの奉仕は意識した『自発』を越えた『自然』に達していて、それはイエス・キリストの奉仕にすごく近いのではないかなと思いました。」
  
「(福永兄弟が)おっしゃるほど、全然すごいことはやっていないですよ」と謙遜する中井神父。関門ネッツがボランティア活動の際に配布するパンフレットには、中井神父個人の携帯番号が記載されています。夜遅い時間に相談の電話がかかってきたり、難しいトラブルが舞いこんできたり、そのひとつひとつに中井神父は真摯に向き合っています。その心には現在の教皇の言葉があるといいます。
「カトリック教会の今の教皇が『自分を安全に保ってきれいにいる教会よりも、外に出て行ってぼろぼろになってきずついた教会のほうが好きです、汚れた教会のほうが好きです』って何度もおっしゃるんです。だから、人と向き合うことでいろいろな問題が生じたとしても、それは正しい道を歩んでいるということなのかなって受け止めることができますし、神父という立場は(何か問題があったときに)自分の逃げ場を用意するのではなく、いつだって開かれていますよという姿勢が求められるという覚悟は持ってやっていますね。」
福永夫妻と中井神父
福永夫妻と中井神父
向かって左から、福永姉妹、福永兄弟、中井神父。 支援を通して出会った福永兄弟と中井神父には、好きなアーティストや留学地など共通点が多い。 2025 by Intellectual Reserve, Inc. All rights reserved.
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明るく輝く「ともし火」として
2024年12月に行われたシンポジウムでは、協賛の下関市の意向があり、シンポジストの信仰心や宗教的な要素について特に言及することはしませんでした。ですが、プログラムの最後に設けられた質疑応答の時間、挙手した市議会議員の質問に福永兄弟は驚かされます。「皆さんがこういうこと(支援活動)をされているのは宗教が原動力になっているんですか?」――その後も登壇しているシンポジストへ、信仰についての質問が続きました。
   
終了後、福永兄弟は写真撮影に訪れた瀬座こずえ姉妹(鹿児島地方部鹿児島支部)から笑顔で声をかけられました。「信仰のともし火というのは、消すことができませんね!」――「役所的な決まり事で押さえようとしても押さえられないろうそくの火みたいなものが、今回確実にあったんです」と福永兄弟は語ります。「最近いろいろ宗教絡みの問題があったので宗教はやり玉に挙げられがちですけど、シンポジウムに来られている方々は信仰に対する敬意を持ってくださっているんだなと感じることができました。ろうそくの光を、イエス様の光を見ましたね。」
  
「あなたがたの光を掲げて、世の人々に輝き渡るようにしなさい」*6と主が言われたその言葉の通りに、善意と信仰を持って集まった人々の行いは今、下関と北九州の地で明るく輝いています。
  
   
*1 いのちの関門ネッツ(https://kaikyonokaze.com/lecture-activity/inochi/)
*2 兄弟、姉妹 末日聖徒イエス・キリスト教会では、すべての人が神の子供たちであるとの教えから、男性を兄弟(Brother)、女性を姉妹(Sister)と呼称する。
*3 地域包括支援センター 住民の健康の保持や生活の安定のために必要な援助を行い、保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設で、各市町村ごとに設置される。
*4 聖書・使徒行伝10章38節
*5 ロクスひよりやま(旧下関労働教育センター)下関市日和山にある、イエズス会の施設。1970年代に建てられ、労働者の権利獲得や生き方について考える場所として機能してきた。「ロクス」はラテン語で「場」の意。現在は子ども食堂などが行われている。
*6 モルモン書・第3ニーファイ18章24節

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.