2日間にわたる第8回年次教会歴史シンポジウムのため,末日聖徒イエス・キリスト教会の歴史専門家がユタ州に集まった。「世界規模の教会―モルモニズムの世界的広がり」と題するこの催し物は,2014年3月6日(木)から7日(金)まで,ユタ州プロボのブリガムヤング大学ならびにソルトレークシティのカンファレンスセンターで開催された。話者は,約184年前の4月6日に合衆国で創立された教会が,合衆国以外の国々においてどのような成長を遂げ,どのような影響を及ぼしているかについて語った。
金曜午前にカンファレンス・センター・シアターで行った基調スピーチで,大管長会第二顧問のディーター・F・ウークトドルフ管長は,出席者を前に,シンポジウムに参加できる機会を喜んでいると述べ,次のように語った。「このシンポジウムはわたしにとってとても大切であると感じました。歴史から学んだ教訓を生活の錨とするときに,わたしたちは人として最も望ましい形で行動できるようになります。また,そうすることによって,最悪の事態を避けやすくなります。」
ウークトドルフ管長は葉っぱのたとえを使って,わたしたち人間が陥りがちな世界についての考え方を説明した。「わたしたち死すべき人間が持つ弱点の一つは,わたしたちの『葉っぱ』が存在のすべてであると思い込むことです。すなわちわたしたちの経験がほかのすべての人の経験を包含し,わたしたちに与えられている真理は欠けるところがないと思い込むことです。」ウークトドルフ管長はそう語る。「歴史がわたしたちに教えてくれるのは,人生の葉っぱの部分だけではありません。人生の小枝,枝,幹,そして根の部分についても教えてくれるのです。」
ウークトドルフ管長は,ドイツの教会で過ごした子供時代の経験を分かち合った。東ドイツのツビッカウにあった教会の小さな支部で,彼はふいごを上げ下げして圧縮空気式起動パイプオルガンに空気を送る務めを与えられたことがあった。その後,彼の家族はフランクフルトに引っ越しした。
「わたしはオルガンの後ろに座ってふいごを全力で上げ下げしました。会衆が美しい音楽を聞けるよう,オルガンパイプの中に十分な空気を送り込むためです。その時からもう70年近くがたちました。」彼はそう振り返る。「わたしはこの教会を見てきました。その葉っぱ,小枝,枝,幹,そして根を見てきました。世界各地の教会を訪問すると,外見的には,違う教会のように見えます。しかし,わたしはこう断言することができます。どこへ行こうと,教会の精神,教会の本質は変わらないのです。」
「小さな種が成長して大きな木になります。」ウークトドルフ管長はそう語る。「最初は小さくても,信仰があれば主はわたしたちの生活に奇跡を起こすことがおできになります。」ウークトドルフ管長は,イエスが育った小さな町,ジョセフ・スミスがつましい生活を送った小さな町を引き合いに出した。「この二つの似つかわしくない,また誰の注目も浴びないような場所,ナザレとパルマイラから,世界を変える人物が現れたのです。」
ウークトドルフ管長は,信仰が必要であると述べ,自分自身,生きている間にドイツに神殿ができるという確信はなかったと語った。1985年6月,ゴードン・B・ヒンクレー大管長は,東ドイツにおいて,ドイツフライブルク神殿を主の宮,鉄のカーテンの向こう側にある最初の神殿として奉献した。
「神の王国は成長し続けます。」ウークトドルフ管長はそう語る。「今日の世界において,わたしたちは学識のある人,裕福な人,著名な人からより多くのことを学びたいと願っています。わたしたちはそういった人々の意見を尊重し,そういった人々の研究に注目しています。」しかし,ウークトドルフ管長は,この世の知恵に信頼を置くようなことがあってはならないと語る。「神はわたしたちとは比べものにならないほどのことを知っておられるのです。」
「イエス・キリストの福音は,すべての真理を包含するだけではありません。現世においても,未来永劫にわたっても,この上なく価値のある知識がその核となっているのです。」ウークトドルフ管長はそう強調する。「この現世の経験で最も魅力的なことの一つは,実に多くのことを学ぶことができるということです。この教会は,真理を包含するだけでなく,様々な方法で,さらに多くの真理が明らかにされると教えています。神は『神の王国に関する多くの偉大で重要なことを啓示される』(信仰箇条1:9)のです。そのような教会に属していることは,すばらしい特権ではないでしょうか。」
ウークトドルフ管長は,こう続ける。「神は善良で忠実な御方であり,時として,わたしたち人間の考えの及ばない方法で,その業を成し遂げられます。神はわたしたちに,小さな信仰,小さな忍耐,そして神を信じる信仰を持つように言われます。御自分を求め,御自分の言葉を信じるように言われます。」
ウークトドルフ管長は,教会の歴史を保管し,ほかの人々が自分の人生と家族について記録するよう奨励する,その働きのゆえに聴衆を称賛し,こう付け加えた。「これは神の業と神の教会にとってきわめて重要な大義です。」
「わたしたちは自分たちが学び続けるということを理解しています。わたしたちの前に待ち受ける葉っぱは,顕微鏡でしか見えないほど小さなスナップ写真のようなものです。すばらしい知識から成る限りなく広大な森林の一部なのです。」ウークトドルフ管長は,そう結論づける。
木曜日には,教会歴史の専門家がブリガム・ヤング大学(BYU)のキャンパスに集まり,世界的な教会の成長,ならびに記録保存の場所を分散化する取り組みに関するプレゼンテーションを行った。200人近い教会員が,末日聖徒の記録を保存するために世界各地で働いている。全世界で15ある教会所有の記録保存センターで業務が行われている。ほかの施設も建築の予定である。
夕方には,作家であり,リッチモンド大学の文学と宗教の教授である,テリル・ギブンズ博士が,BYUで基調スピーチを行った。ギブンズ氏は,教会の会員数は多くの国々で増え続けており,あまりにも増え続けているために,多くの教会員は「タバナクル内部に足を踏み入れること,あるいはビリングズやプロボのEFYに出席することがどのようなことなのか,全く見当がつかないかもしれない」と語っている。また,「シオン」はもはや唯一の場所ではなく,聖徒が住んでいる所はどこでもそうであると付け加えている。