ニュースリリース

教会,現行のアルコール法はユタ州に有益との見解を示す

末日聖徒イエス・キリスト教会は今日,以下の情報を発表した。D・トッド・クリストファーソン長老のビデオインタビューと,ユタ州の現行アルコール法に対する教会の立場を説明するホワイトボードアニメーションが含まれている。

教会が関心を寄せるアルコール法

末日聖徒イエス・キリスト教会はユタ州住民の生活の質に大いに関心を寄せる。ユタ州は世界的に発展する同教会が本拠地を置く場所であり,約200万人の教会員,すなわち全会員数の13%が居住している。しかし,教会の関心は,教会員が守っている健康の標準を広めることではない。州のすべての住民,特に未成年の安全と福利を促す法律を支持し,過剰なアルコール摂取や乱用,未成年の飲酒,飲酒運転の結果として生じる社会的な不利益や悪影響を避けることに関心を寄せている。教会はまた,ユタ州のアルコール政策が州の道徳的な風潮と密接に関連しており,法律は「アルコール文化」を推進したり助長したりするべきでないと強く信じている。それでも教会は,アルコールの使用が社会で容認されているという事実に異議を唱えることはなく,アルコールを求める人は入手できてしかるべきであるという現実を疑問視するわけではない。

[00:05] Why does the Church take a position on alcohol laws in Utah?
[01:22] What is the impact on society from alcohol consumption?

[02:47] Does the Church support maintaining differences between bars and restaurants?
[04:46] What are the benefits of Utah’s alcohol laws?
[06:19] Some says Utah’s alcohol laws are unusual. Is that accurate?
[08:06] When does the Church become involved in public policy issues?

全米一のユタ州

時折,アルコールに関するユタ州の法律や政策が嘲笑されたり,多くの人の生活が守られていることを含め,そうした法律や政策のもたらす恩恵が軽視されたりすることがある。何十年もの間,妥当なアルコール規制はユタ州にとって益となってきた。ユタ州で包括的なアルコール法を実施したことにより,アルコールによる社会的損害は全国平均をはるかに下回っている。実際,ユタ州は飲酒運転による死亡事故[1]件数が全50州で最も低い。

さらに,アルコールに関連した他の全国統計でもユタ州は最低数値を示している。例えば,中学2年生と高校1・3年生のこれまでの生涯および最近30日間の飲酒率は全国平均の約半分である。[2]2012年の自動車事故に占める飲酒運転による死者の割合は,全国平均31%であるのに対し,ユタ州では16%。[3]2010年には,ユタ州におけるアルコールの過剰摂取率はアメリカの他のどの州よりも低かった(10.9%)。[4]

フォーブズ誌[5]は,「酒に酔ったドライバーを全国で最も恐れなくてよいのはユタ州民である」と書いている。

上に述べた点も含め,ほかにも様々な利点があるにも関わらず,ユタ州のアルコール法はこれまで何度も脅かされてきた。他の多くの州では,膨大する社会的コストと飲酒に関わる多くの問題のため,アルコール摂取を規制する動きがある。一方で,他の地域社会に望ましい成果をもたらしてきた法律や条例を,ユタ州の一部の住民は緩和しようとしている。


社会的犠牲

アルコールの乱用は社会に広範で多大な犠牲をもたらす。ある研究[6]では,アルコールは他のどのような薬物よりも社会全体に悪影響を及ぼすことを示唆している。全米アルコール・薬物依存評議会の報告によれば,全世界で年間約250万人がアルコールに関連した原因で死亡している。[7]CDC(連邦防疫センター)の報告[8]では,過剰な飲酒に合衆国は2006年に2,235億ドル,つまり1杯につき1ドル90セントを払ってきたとある。CBSニュースで報道されたように[9]「酒場の勘定が上がれば上がるほど,アメリカの財政も苦しくなる」のである。

摂取量では平均を下回っているものの,ユタ州も高い犠牲を払っている。2010年にはアルコールに関連して15億7,000万ドル[10],すなわち1世帯につき1,800ドル以上を負担した。これには未成年の飲酒にかかる費用,刑事司法制度への負担,労働日数の損失やその他の関連費用が含まれる。最大の損失は,失われた生命の損害額であり,総計で4億7,200万ドルに上る。これ以外にも,アルコールによる死者の家族に及ぶ影響などを含め,数値化できない広範な損失がある。

州ごとに異なる状況

ユタ州のアルコール法を緩和しようとする人々は,法を「標準化」する必要性があると度々主張する。この場合,「標準化」とは「自由化」と同じ意味で用いられているが,実は「標準的な」アルコール州条例というものは存在しない。いずれの州も最適なアルコールの取り締まり方をそれぞれ選定しており,州の数だけ法律が存在する。

州の政策と文化に合わせて法律を制定している州はユタだけではない。一部の州にはアルコールの摂取と販売を完全に禁止している管轄区がある(「禁酒郡」を示す地図を参照)。ワイオミング州では,飲食店でアルコール飲料を取り扱う際には,保管や調製,提供に別室が必要である。日曜日のアルコール販売を制限したり,禁じたりしている州もある。ペンシルベニア州,デラウェア州,ロードアイランド州では,食料品店でのアルコール販売が禁止されている。

2000px Alcohol control in the United States.svg

合衆国内の禁酒郡。赤=禁酒郡,黄色=混合,灰色=情報なし

最近の研究[11]では,アルコールの規制が強い州ほど若者の飲酒や過剰飲酒の発生率が著しく低く,飲酒に起因する死亡率も低いことが分かっている。

結局のところ,ユタ州の現行アルコール法を緩和しようとする個人やグループは,規制を緩和してもこれらの望ましくない社会的犠牲を増加させたり,他の州のようなアルコール摂取関連の支出や問題を生んだりしないという明確な証拠を提出するべきである。

教会は,アルコール飲料が社会で認められたものであることを認識している。教会員にはアルコールを避けるように教える一方で,教会の公的な方針はユタ州法[12]32B-1-103にのっとっている。この法律では,州は「公的需要を適切に満たし,アルコール製品と関わりを持ちたくない市民の権利を含めた大衆の権利を守る」必要があるとうたわれている。さらに,同法は州が「(1)成人によるアルコール製品の過剰摂取と(2)未成年によるアルコール摂取に起因する悪影響の削減を推進する」ことを定めている。

ユタ州のアルコール法は,アルコールの摂取を認めながらも,どの社会にも見受けられる,アルコールが個人と家族,地域に大きな負担をかける可能性も考慮に入れた精神文化を作るのに役立っている。そのため,飲食店において客から見えない場所でアルコール飲料を調製することを定めた条例をはじめとするユタ州の法律や政策を変更し,飲食店を酒場のようにしてしまうことに対し,教会は強く反対する。ユタ州法は,アルコールが危害を及ぼす可能性を考慮に入れるべきであることを,人々にはっきりと思い起こさせるものである。

アルコール法に対する教会の立場

広い意味で,アルコールに関するユタ州の法律や条例は,アルコール摂取に対する教会の宗教的な教義に基づいているのではなく,ユタ州議会が明確な事実に基づいて,公共政策をじっくり検討したうえで取り入れたものである。アルコール規制に対するユタ州の政策は,州にとってこれまでも有益であったし,今後も維持されるべきである。教会は,以下の4点を含め,アルコールに関するユタ州の法律や条例を弱めるいかなる立法行為にも反対である。(1)アルコール飲料管理体制の民営化,(2)アルコール取り扱い認可数の増加,(3)食料品店やコンビニエンスストアなどにおけるビール・ワイン・蒸留酒の販売を許可したり,州の管理体制外での直接販売を認可したりすること,(4)ユタ州においてアルコール製品の販売や消費を増加させるその他のいかなる提議。

教会はまた,飲食店と酒場の間に明確な区別を維持することも強く支持するものである。この区別には,飲食店において飲食スペースや顧客とは離れた場所でアルコール飲料を保管したり販売したりすることや,「食事目的」の飲食店の条件として食物と酒の割合が7対3であること,飲食店と酒場の営業時間を異なった設定にすることなどが含まれる。

ニュースなどで採り上げられるアルコール制限と規制の問題は,多くの場合,ユタ州のごく一部の飲食店やクラブ,ホテルの所有者がユタ州のアルコール法があることで直面する問題にだけ焦点を当てている。市民である彼らの声も聞くべきである一方,全米平均を上回るユタ州の公共安全と,個人と家族,社会全体に対する経済的負担が小さいことの方を,重視すべきである。報道機関,特にユタ州を拠点とするメディアは,これらの問題を採り上げる際にもっと広い視野を持つ必要がある。各州に独自のアルコール法と条例があることを認め,また明確な事実に基づいて検討され,長年維持されてきたユタ州の公共アルコール規制政策がもたらしてきて公益を裏づける情報を検証すべきである。それをしないまま,ユタ州条例が特異であると主張することは,一般市民に誤った認識を持たせ,十分な情報がない状態で公的な議論を呼ぶことになる。

 [1] http://www-nrd.nhtsa.dot.gov/Pubs/811856.pdf; figures in this report were divided by U.S. Census Bureau’s annual population estimates for 2012; see http://www.census.gov/popest/data/state/totals/2012/.

[2]http://www.parentsempowered.org/uploads/downloads/19_Utah_Underage_Drinking_Brief-Final__2_.pdf.

[3] http://www-nrd.nhtsa.dot.gov/Pubs/811856.pdf.

[4] http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6101a4.htm#fig2.

[5] http://www.forbes.com/2008/11/20/driving-drunk-highway-forbeslife-cx_sw_1120drunk.html.

[6] http://www.economist.com/blogs/dailychart/2010/11/drugs_cause_most_harm.

[7] http://www.ncadd.org/index.php/in-the-news/155-25-million-alcohol-related-deaths-worldwide-annually.

[8] http://www.cdc.gov/features/alcoholconsumption/.

[9] http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-20121561-10391704.html.

[10] Racking Up the Costs: Analysis of the Economic Burden of Alcohol and Substance Abuse for the State of Utah, 2010 (Cameron Lister, et. al, Department of Health Science, Brigham Young University, Provo, UT).

[11] http://www.eatdrinkpolitics.com/wp-content/uploads/ControlStateReportSimon.pdf.

[12] http://www.le.utah.gov/code/TITLE32B/32B.pdf.

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.