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大場光紗さん。2025年。札幌。© 2025 by Intellectual Reserve, Inc. All rights reserved.科学と宗教が対立する領域と見なされることがある世界で、末日聖徒イエス・キリスト教会のラッセル・M・ネルソン大管長の次の言葉は深く響きます。「科学と宗教の間には対立はありません。対立は、科学または宗教、あるいはその両方についての不完全な知識からのみ生じます。[i]」この感情は、ある日本の若い教会員の経験にも反映されています。彼女は18か月間宣教師として奉仕した後、北海道大学に戻り、博士号を取得するための勉強を続けています。
大場光紗(おおばみさ)さんは、科学、技術、工学、数学(STEM)に特に興味があったわけではありませんが、専門的な技術と知識 を身につけるために高専に通うことを選びました。卒業研究に取り組んでいる中で、彼女は医療と工学の連携分野に関する研究に興味を持つようになりました。大場さんは広島の故郷から札幌に移り、2020年に北海道大学で学士号(工学)を取得しました。知識とスキルをさらに向上させるために、大場さんは北海道大学の修士課程に進学しました。
しかし、そこで人生は興味深い展開を見せました。大学院生としての初めの頃、大場さんは宣教師たちがイエス・キリストと彼の教会について人々に教えるのを共にしました。彼女は御霊を感じ、自分も奉仕したいと決心しました。
大場さんは、2020年から2022年までの18か月間、末日聖徒イエス・キリスト教会の東京南伝道部でフルタイムの宣教師として奉仕しました。宣教師の経験がどのように彼女の職業生活に役立ったかを尋ねられたとき、彼女は毎日目標を設定する習慣が、研究を計画的にすすめるために役立ったと述べました。大場さんは2022年に北海道大学に戻り、2024年に修士号(情報科学)を取得しました。

日本では、3人に1人ががんで命を失っており、効果的ながんの診断と治療法の選択が 求められています。大場さんの現在の研究は、がんの診断と治療のための新しい非侵襲的なイメージング技術の開発に焦点を当てています。現在の技術はがんの存在を検出できますが、適切な治療法を決定するのには効果的ではありません。放射線治療はがん治療における一つのアプローチとして利用されています。放射線治療では、がん細胞での酸素が低い領域では治療効果が低減してしまいます。しかし、酸素が高い部位に高線量の放射線を照射すると、正常組織が損傷するため、がん細胞では酸素がどのように分布しているかを見えるようにすることが重要です。大場さんのプロジェクトは、電子スピン共鳴イメージング(ESRI)と呼ばれる技術を用いて、マウスのがんにおける酸素を高精度に見えるようにする技術の開発に取り組んでいます。
大場さんの目標は、人々の生活を支援し改善する医療技術の開発に貢献することです。その目標は、イエス・キリストの忠実な信者でありたいという彼女の願望と自然に一致しています。
[i] ラッセル・M・ネルソンは、2015年4月9日にBYUライフサイエンスビルの献堂式で講演した際、末日聖徒イエス・キリスト教会の十二使徒定員会の会員でした。この引用はその講演から取られたものです。