全国奉仕の日として指定されたのは5月18日だったが、早いところでは4月半ばに行い、6月に実施したところもあった。奉仕内容としては、近隣、海岸、公園、川岸の清掃、高齢者や障害者の養護施設や病院での奉仕活動などであった。中には地域の祭りの手伝い、献血イベント、農地回復の手伝いに従事したユニットもあった。教会周辺の地域清掃が主だった前年度に比べて今年は、他のグループと協力して行うプロジェクトや、教会の外への奉仕に取り組んだものがほとんどだった。
全国奉仕の日としては今年で2回目となるが、多くのユニットがこれまで何十年にもわたって奉仕活動を続けている。金沢ワードは健民海浜公園の清掃を30年行い、東京南ステークの第一ワードは19年前からフランシスコカトリック教会と協力してホームレスのためのおにぎり作りに携わってきた。名古屋の福徳ワードは土曜日に障害者施設の清掃を20年間続け、さらに火曜日にはホームレスのために炊き出しも行っている。このように毎年複数のプロジェクトを実施しているユニットもある。東京の中野ワードは毎月ホームレスのために食事を提供し、さらに、他のワードや他の教会の人たちと共同で、毎年、児童養護施設を卒業する子供たちに手作りのキルトをプレゼントしている。他にも全国の姉妹で構成されているグループは、1000個ものクリスマスブーツを児童養護施設の子供たちや困っている人たちに送るプロジェクトを行っている。これも何年も続いている活動である。
「あなたがたが同胞のために務めるのは、とりもなおさず、あなたがたの神のために務めるのである」(モーサヤ2:17)というモルモン書の教えと、「わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである」(マタイ25:40)という救い主イエス・キリストの教えに従っている日本の教会員にとって、奉仕は日常生活の中では当たり前の行為である。しかも、謙虚な彼らは、自分がどのような犠牲を払っているかなど、ちっとも分かっていない。
奉仕をする理由を聞かれ、多くが、正しいことをする機会があったから、と控えめに答える。また、子供たちに奉仕の大切さを教えたいからと答える人たちもいる。ある姉妹は「奉仕をすることで喜びを得ます。わたしの子供たちにも同じ経験をしてほしいと思っています」と語る。
アジア北地域会長の崔 崙煥長老は、妻の具 本京姉妹と江別ワードの会員を手伝って札幌にある養護施設の窓ふきをしたとき、同じようなことを口にしている。「この活動は会員が一緒に働き、人々に心を向ける喜びを感じるすばらしい機会でした。施設の患者さんたちはわたしたちの様子をじっと見ていました。わたしたちは笑いかけたり、手を振ったりしましたが、でも、そばに座って話をしたり、短い音楽の演奏をしてもよかったですね。」
崔長老は会員たちに、奉仕を受けてくださる人々を愛するように、また、奉仕しながら楽しむ方法を見つけるようにと語った。そして語るだけではなく、崔姉妹がせっせと窓ふきをしているその窓をわざと汚して姉妹をからかうという手本を見せてくれたのだ。側にいたある姉妹が思わず「崔長老はいつもこんな風なんですか」と尋ねたほどだった。ほほえみながら「そうなのよ」と答える崔姉妹の言葉に、二人の互いへの深い愛が垣間見えたようだった。
また崔長老は、青少年や子供たちを連れて参加した多くの親たちに感謝して言った。「これは、親である皆さんが子供たちに示せるすばらしい模範です。子供たちは自分の親が時間を割いて人々に心を向ける姿を見ています。次に子供たちも、喜びと天のお父様の愛を感じます。こうしてわたしたちは、救い主から言われたように人々の前に光を輝かせるのです。」
最後に崔長老から、次にこのような活動があったら、その後皆で食事したらどうですか、と提案があった。金沢では奉仕活動のあと、ボランティアの人たちも集まっているその場でバーベキューをして肉や野菜を焼き、おしゃべりをして時間を共に過ごした。「こうした活動は、天のお父様の愛を感じる機会となります。共に働き、共に遊ぶことで、その喜びを互いに分かち合うのです。奉仕することでもたらされる愛を感じる時間を作ってください。」