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オハイオ州クリーブランドでアフリカ系アメリカ人のルーツ探求

最近、オハイオ州クリーブランドにある末日聖徒イエス・キリスト教会の集会所で開催されたアフリカ系アメリカ人の家族歴史シンポジウムに、米国東部から400人以上の人々が集まった。

 

アフリカ系アメリカ人の系図学者として全米に名高いデボラ・アボット哲学博士が、今回のイベントの基調講演を行った。彼女は「ルーツ」の著者アレックス・ヘイリーの言葉を引用し、「わたしたちには、自分が誰なのか、どこから来たのかを知りたいという強い願いがあります。先祖の知識を得ることがなければ、この願いが空虚なものに終わります。人生でいかなる偉業を成し遂げたとしても、自分たちのルーツを知ることがなければ、空虚感と不安をかき立てる寂しさがつきまといます」と語った。

このあと参加者らは、アボット博士、そしてダラス公立図書館のアリ・ウィルキンス、「ファミリーツリーマガジン」と「系図ポッドキャスト」のサニー・モートン、世界最大の非営利系図団体である「ファミリーサーチ」を最近退職したジェームズ・L・アイソンなど、著名な系図学者が教える一連のクラスの中から希望するものに出席した。

クラスの中には、プランテーションや自由人事務局(Freedmen’s Bureau)の記録、奴隷亡命経路などをたどってアフリカ系アメリカ人先祖を調査するクラス、奴隷として働いていた先祖が住んでいた家を発見し実際にそこを訪問したなど感動的な研究者の話を聞けるクラスなどがあった。

シンポジウムのホスト役となった末日聖徒イエス・キリスト教会のオハイオ州クリーブランドステークは、計画と準備には18カ月を費やした。今回のシンポジウムの共催者は、オハイオ州クリーブランドのアフリカ系アメリカ人の家族系図協会(www.aagsclev.org)とオバリンアフリカ系アメリカ人系図と歴史グループ(www.oaaghg.com)であった。

午後の基調講演の演者は、「ウェッシングトンプランテーションのワシントン家の人々(The Washingtons of Wessyngton Plantation)」の著者のジョン・ベイカー・ジュニア(テネシー州)であった。30年以上の研究によって完成した彼の著書は、「アフリカ系アメリカ人の歴史書として非常にわかりやすく、楽しく読める本として『ルーツ』以来の傑作である」と評価されている。著者は、自分の先祖を含めアメリカ最大のタバコプランテーションにおいて奴隷として生きた大勢の人々の話をどのようにまとめたかについて分かち合った。アフリカ系アメリカ人の系図探求を行う際に直面する困難を学んだ出席者らは、口述歴史、DNA検査、裁判所、プランテーション記録などから得た証拠を元に歴史を記録したというベイカー・ジュニアの講演を聞き、実際の苦労を目の当たりにすることができた。自分の存在が子孫たちにさえもほとんど知られていなかった黒人たちの写真や文書を目にしたときのベイカー・ジュニアの驚嘆を、聴衆は共有することになった。

オハイオ州ウィクリフのミュリエル・ロビンソンは、教会でチラシを見てシンポジウムへの参加を決めた。数年前、彼女は一人の友人の助けを借りて系図探求を始めたが、奴隷制の時代に行きついたところで、先祖の記録はなくなっていた。

「わたし自身の先祖の歴史でもあるアフリカ系アメリカ人の歴史について、何か情報が得られると思いシンポジウムに参加することを決めました。自分の先祖のどれくらいが奴隷だったのかにずっと興味がありました。シンポジウムに参加して、奴隷制が1500年代にまでさかのぼること、そしてそれが人々の人生にどのくらいの影響を与えたのかについても学ぶことができました。公民権運動やマーチン・ルーサー・キングについては学んだことがありましたが、奴隷制については何も教わりませんでした」とロビンソンは述べた。

また彼女は、担保付融資で支払われる予定で奴隷として売られたものの、その支払いが不履行となり、銀行が奴隷たちを取り戻したという話も分かち合った。帰宅して十代の息子にその話をすると、「人を物のように扱っていたということ?」と尋ねられたという。この話は、奴隷の家族が方々に売られてしまい、家族が離散して二度と会うことがなかったという悲劇が実際にあったということをロビンソンに思い起こさせるものであった。

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