アッパーヒルにある末日聖徒イエス・キリスト教会の奉仕センターでは、12年間にわたり近隣住民に水を提供して来た。この地域にある企業シティーバンクとリージェントマネジメントには給水メーターがあり、これらの企業は住民が使用する水の料金を負担している。この地域に住む住人たちは月曜、水曜、または金曜日に無料でタンクに水を汲むことができる。住民はタンクを歩道に整然と並べると、給水ホースが持ち出され、午後2時に給水が始まる。
2005年にこのサービスセンターが建設されるまでは、井戸が掘られ、そこから丘の上に水を汲み上げ、奉仕センターだけでなくナイロビの都市中心部にいる近隣住民にもたくさんの水が供給されていた。
「あるときは200以上のタンクが並ぶ時もあります」と奉仕センターの施設マネージャージェームズ・キュルーが語った。高層アパートが並ぶ地域の集合住宅では、手押しポンプで水を汲み上げようとしても、井戸が枯れていることも多かった。水道局は十分な給水をすることができず、水が得られない住民もいた。
住民はタンク1杯分の水を水道会社から3ケニアシリング(約3円)で購入するか、水販売ポイントから20ケニアシリング(約22円)で購入することができる。一方、教会は近隣住民に無料で水の提供を行っている。1970年までにプラスチック製のタンクが出回るようになった。スチール缶は空っぽでも10ポンド(約4.5kg)の重さがあるが、プラスチック製のタンクの重量は3.5ポンド(約1.5kg)と軽く、製造コストも安く済む。ドイツ軍は最初に金属製の缶を燃料保存用に使用したが、現在では世界中の人々が燃料または水の家庭内保存容器としてプラスチックのタンクを購入する。
標準的な5ガロン(約19リットル)のタンクは一杯まで満たすと約18kgで、これは水不足のシンボルとなっている。世界中では数百万の人々が毎日数時間かけて、水を汲んだタンクを1本の紐で背中に背負ったり、腰骨に置いて担いだり、頭の上に乗せてバランスを取りながら運ぶなどしている。タンクは彼らの日常生活の一部であり、彼らはタンクを持って水源までの長距離を歩くのである。
タンクは日々のほとんどの時間を費やして得る貴重な水を保存するもので、多くの家族がタンク1杯の水を節約しながら有効に使っている。タンクは水不足解消を願う人々の心を表す希望のシンボルでもある。