ニュースリリース

希望と愛を届ける7000羽の折り鶴

東日本大震災の被災地・岩手県大槌町へ,大阪堺ステークから

  

 

 

2021年3月3日、7000羽の折り鶴が、末日聖徒イエス・キリスト教会 大阪堺ステークより発送された。送り先は岩手県上閉伊郡大槌町(かみへいぐん・おおつちちょう)の福祉センター「大槌町菜の花プロジェクト」である。堺ステークと大槌町の福祉センターとの繋がりは10年前に遡る。

 

大槌町は岩手県三陸海岸の中央部に位置し、過去に何度も津波の被害を繰り返してきた。2011年3月11日、轟音を立てて住宅の屋根よりはるかに高い波が集落を襲った。町長をはじめとした死者・行方不明者は1,234名*1となり、行政は麻痺し、交通は遮断され、陸の孤島となった。そのような状況の下、教会の人道支援が始まった。堺ステークも近隣のステークと歩調を合わせ、8月中旬、約80人の会員がチャーターバス2台で瓦礫の片付けや泥かきのために被災地宮古市と大槌町に入った。

 

一方、被災地でも失意の中から立ち上がろうとする人たちがいた。5月、一人の男性が県の許可を得て大槌川の河川敷を耕し始めた。津波で逆流した河川敷に残された瓦礫やゴミの清掃活動の終わったところに菜の花の種を撒こうと考えたのだった。このことが多くの人の共感を呼び「大槌町菜の花プロジェクト」になったのだ。

 

大阪堺ステークは現地の担当者と連携を深め、その都度必要な支援を行ってきた。求めに応じて、3月には小学生へ新学期のために学用品(カバン・上履き入れ・給食袋)、クリスマスには幼稚園児、保育園児が笑顔になるお菓子を贈った。これを契機に毎年2回の活動が恒例となった。被災地への訪問は2年毎の初夏に行われ、川沿いの持ち物探し、泥かき、菜の花を植えるための地ならし、雑草抜きなどを行っている。

 

ところが、震災以来続けてきた被災地でのヘルピングハンズ活動が昨年、新型コロナ感染症で止まってしまった。堺ワードの杉本美智子(すぎもと・みちこ)姉妹*2は被災地のことが頭から離れなかった。「被災地のことを忘れていない」「その思いを届けるにはどうしたらよいのか」「自粛生活でわたしたちに何が出来るだろうか?」。祈り求める時、答えを得た。「千羽鶴を作る」だった。千羽鶴には「希望・平和・祈り・愛」の意味があり、これまで活動に携わった人々の心を託して被災地の人々に寄り添える。そう確信した。

自粛を余儀なくされ、家に籠る日が増えていた2020年10月、「千羽鶴プロジェクト」がスタートした。老若男女を問わず誰でも、いつでも、どこでも手軽にできる折り鶴は、被災地と大阪堺ステークの心を繋ぐ奉仕活動となった。

大槌町の福祉センターでは7000羽の折り鶴に大きな感謝の声が上がり,3月11日の慰霊の日,コミュニティホールに飾ってもらえたという。

杉本姉妹はこう語る。「(その後)それぞれの幼稚園に差し上げたのですが、一つは津波でご主人を亡くされたワカメ会社の奥様に差し上げたそうです。胸に千羽鶴を抱きしめて泣かれていたと、感謝の言葉をいただきました。質素な贈り物ですが、亡くなった方々への哀悼、被災者の方々の未来への希望、更なる復興の躍進という私たちの願いを込めた千羽鶴が10年目の被災地に羽ばたいてほしいです。」

*1─震災関連死を除く。関連死を含めると1,286人にのぼる(令和2年9月15日現在)

*2─末日聖徒イエス・キリスト教会では,すべての人が神様の子供であるとの教えから,女性を姉妹(Sister),男性を兄弟(Brother),宣教師を実年齢に関わらず長老(Elder)と呼称する

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.