新型コロナウイルス感染症により不安定となったこの時期に,ハリエットとわたしは世界中の人々と対面して話すことができなくなり,寂しく感じています。この夏は東ヨーロッパの末日聖徒を訪れる予定でしたが,旅行はキャンセルせざるを得ませんでした。わたしたちの多くは通常とは違ったこの状況に何らかの調整を余儀なくされています。そこで,この困難な時期を過ごすために役立つ経験を分かち合いたいと思います。
社会的距離,対,物理的距離
このパンデミックが始まって以来,良く耳にする言葉が「社会的距離」です。その意味は,自分たちとほかの人々との間に一定の距離を保つ必要があるという考えです。個人的には,これを表現するなら「社会的距離」よりも「物理的距離」の方が良いと思っています。ハリエットとわたしは,物理的距離を守っていれば,わたしたちもほかの人々もこのパンデミックから守られると確信しています。そしてそれを実行するよう最善をつくしています。
この期間,家族や友達,イエス・キリスト教会の兄弟姉妹と,社会的には近い関係を続けていくことが,わたしたちが幸福でいるために重要で欠かせないということを学んできました。
幸いなことに,テクノロジーによって今日たくさんのすばらしいツールや方法が開発されており,社会的,情緒的,そして霊的な距離を縮めることができるのです。ハリエットとわたしは,これらのツールが時宜に適って天から与えられた贈り物だと思っています。これらの手段のおかげで,わたしたちは友人や家族とともに親密な関係でいられると感じています。テクノロジーを駆使したツールによって,子供たち,孫たち,ひ孫たちの日常をともに経験することができるのです。こうして,誕生日を祝ったり,新しい劇やゲームを絶賛したり,寝る前の物語を読んだり,ビデオ電話で散歩に参加したりしています。聖餐を取る経験や『わたしに従ってきなさい』の教えを深く考える経験を聞くと,いつも霊が高められます。
何よりも,祈りという贈り物と力に感謝しています。わたしたちはどこにいようと,どのような状況になろうと,祈りを通して,天の御父とその御子イエス・キリスト,そして家族や友人と近く生活することができるのです。
できないことより,できることに集中する
ここ20年間,ハリエットとわたしは,物理的に愛する者から離れて生活するという意味で,先んじてそれを経験してきました。わたしの召しに従ってドイツからソルトレーク・シティーに引っ越したときには,ここに住むのはほんの数年間のつもりでした。最初の10年間は,いつの日か家族や友人の元に戻る希望を抱いて,ドイツの家さえそのままにしていました。しかし御存じのようにわたしたちはまだここに居ます。そしてこれからもいることでしょう。
福音とイエス・キリストの教会があり,主が助けてくださったので,(8,000キロもの)物理的距離が,すなわちお互いが社会的にも距離を持つという意味ではないことを学ぶことができました。わたしたちはできることやできる経験に集中して楽しむことを学んだのです。できないことにはあまり集中しませんでした。
心にマスクをしない
以前より頻繁に友人や家族と社会的なつながりを持ってきたので,もっと心の中の考えや希望を分かち合うようになりました。ある意味,このような困難な時のおかげで,自分たちの心の内にある感情をもっと表すようになったのです。わたしたちが最も愛する人々に自分たちの心の思いをマスクで隠すようなことをしないことは何とすばらしいことでしょう。それをはっきりと感じることができました。
この特別な時期に,ハリエットとわたしは自分たちの勧めていること,つまり,顔にはマスク,心にはマスクをしない,ように努めています。
わたしのフェイスブックやインスタグラム,ツィッターのへの皆さんのコメントを読むと,皆さんの多くが生活に悲しみや重荷を抱えていることを感じることができます。それと同時に,生活の中でできるたくさんの善いことに集中しているときの皆さんの喜び,熱意も感じることができます。皆さんが言葉や行いを通して互いに助け合い,高め合っている様子には目を見張るものがあります。神と,わたしたちの兄弟姉妹である神の子供たちを愛し,奉仕する皆さんは,この世にとって奇跡であり,祝福です。
喜びの時も,幸薄いときも,天の御父は約束と祝福を与えてくださっています。すなわち「恐れてはならない,わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない,わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし,あなたを助け,わが勝利の右の手をもって,あなたをささえる。」(イザヤ41:10)
ハリエットとわたしは皆さんを愛しています。皆さん一人一人に感謝しています。この特別な時期にあって,またいつでも,神があなたを護り祝福を与えてくださいますように。