末日聖徒イエス・キリスト教会の2023年10月の総大会、土曜午後の部会にて、十二使徒定員会のロナルド・A・ラズバンド長老はイスラエルの集合を助けるためにさらに多くの宣教師の必要性が高まっていることについて話をした。ラズバンド長老は次のように述べた。「今日、わたしは宣教師として奉仕できるであろう、多くの経験豊かな教会のシニアの方々に話しています。主は皆さんを必要としておられます。ニューヨークやシカゴ、オーストラリアやアフリカ、タイやメキシコ、そしてそのほかそこかしこで必要なのです。」ネルソン大管長は、「夫婦でひざまずいて、今、伝道に出るのにふさわしい時期かどうかを天の御父に尋ねる」よう、教会員に勧めている。
シニア宣教師の中には、自分たちの家と家族を離れて、世界中に赴き、預言者の呼びかけにこたえている人もいれば、山口地方部下関支部の磯部早苗姉妹のように、自分の住む地域社会において奉仕する機会を見い出している人々もいる。
もしだれかが磯部姉妹に数年前に今日彼女はシニア宣教師として奉仕しているでしょうと言ったとしても、多くの理由で彼女は信じなかったであろう。教会員によって気分を害されたことがきっかけで、彼女は30年近く教会から離れていた。10年間努力したこともあるが、彼女が再び教会に戻り活発になるうえで、幾つかの事柄が助けとなった。
磯部姉妹は神殿と先祖に対して大きな愛を抱いている。両親が亡くなった際、彼女は両親のために神殿で身代わりの儀式を受けたいという強い願いがあり、しかも、自分自身で身代わりの儀式を受けたいと思っていた。しかし、当時、自分がすることができないと知ってとてもつらい思いをした。
また、磯部姉妹は大福という自分の飼い犬が大好きである。その犬は彼女にたくさんの平安と幸福をもたらしてくれている。大福は磯部姉妹の感情に特に敏感に反応するので、大福をなでて落ち着かせることで自分自身が落ち着く助けとなっている。そうするとき、彼女は自分に対する天の御父の愛と御父がどのように自分を慰め平安を与えてくださるのかを思い起こす。大福を散歩に連れて行くときにはいつも、磯部姉妹は主の美しい創造物をすべて見い出している。ある日、それを通して、神殿のエンダウメントについて思い起こした。彼女は神殿に参入したいと切望するようになった。
磯部姉妹が宣教師として奉仕することはできないだろうと思ったもう一つの理由は、彼女は健康上の大きな問題を抱えていたことである。彼女は教会に戻って以来、病気とけがにより次から次と大きな手術を受けてきた。15回の手術を受けて、長い入院生活を送り、入院中に危篤状態にもなったことがあるが、その後、磯部姉妹は徐々に祈ることとモルモン書を読むことができるようになった。
磯部姉妹は奉仕したいという願望を持ち始めたが、治ることのない身体的な困難が障壁となるのではと心配した。両手はひどく不自由になっており、聖餐のカップさえ手で取れない状態であった。熱心に祈ったとき、彼女は「大丈夫です。わたしはあなたを使うことができます」という答えを受けた。彼女は御霊によってシニア奉仕宣教師として奉仕するという促しを感じた。しかし、申請書を提出してから、彼女は召しを受けるまで8か月の長い月日を待った。
召しを待っている間、磯部姉妹は主の道具として働く方法を見つけた。彼女は何年もの間、教会から離れていたので、一度は福音を受け入れたがその後様々な理由で教会から離れた人々と特別なつながりを持っていた。「わたしは同じような苦悩を知っていますので、彼らのために架け橋となり、主に導く助けをすることができます」と彼女は話した。
伝道の召しを受けて以来、磯部姉妹はさらに多くの奉仕する機会を見い出してきた。毎月開かれる家族歴史のクラスで支援をすることを通じて、彼女はあまり活発でない会員たちとの関係を築くことができている。彼女は、それらの人々のことを自分の「永遠の友達」と呼んでいる。磯部姉妹が特に好きな一つのことは、人々が天の御父の愛を感じられるように助けることである。彼女は各支部において会員たちに手を差し伸べている。自分自身が抱えている困難にもかかわらず、彼女は多大の努力と時間を使って励ましの手紙を書き、福音とイエス・キリストに対する自分の愛を分かち合っている。
伝道の割当てに関して、磯部姉妹はただ「自分の心に従っています」と話す。彼女は義務感から奉仕するのではなく、奉仕がもたらす大きな喜びを動機として奉仕している。奉仕を通して、彼女はさらにキリストのようになりたいと望んでいる。
彼女のスケジュールには、日々、『私の福音を宣べ伝えなさい』、聖文、および宣教師の手引きを2~3時間研究することが含まれている。家族歴史に携わるともに、彼女はまた定期的にディストリクトの若い専任宣教師たちともミーティングを持っている。シニア奉仕宣教師としての彼女のスケジュールはより融通が利くものではあるが、彼女の心は常に奉仕の業に注がれている。
人々に奉仕することで、磯部姉妹は自分自身の困難について考えずに済んでいる。彼女は、「自分の試練に焦点を当てずに、天の御父と自分にできることに焦点を当ててください」と勧める。彼女の友人たちが伝道の奉仕を行うことについて懸念を示すと、磯部姉妹は次のように言う。「奉仕宣教師になりなさい。簡単で楽しいですよ!」