ブルーナ(文中では名前のみ記載)が東京2020ボランティアとして群馬県大泉町内を走った。東北大震災から10年経ち、復興をテーマに掲げる世界的なイベントにおいて走る意味は、10代をスポーツに没頭して過ごしてきたブルーナにとって意義は大きい。
ブルーナはブラジルで生まれ、4歳の時に日本に母親と来日、群馬県大泉町に移り住んだ。群馬県大泉町の人口42,000人の中に今では外国人は8,000人ほど。5人に一人は外国人という計算になる。日本語を話し始めたのは小学校一年生の時。ブルーナの母がよく作ったブラジルの郷土料理カルネ・デ・パネラをこよなく愛して育った。中学校でバスケットボールに目覚めた。
そんな中、中学二年の夏に宣教師が野口家を訪れる。「外国人が何してるんだろう。」と思ったが、姉たちはそんな宣教師を家に招き入れた。何度か福音のレッスンを受け、ある日お祈りのアサインメントを受けた。理由もなく自然に涙がこぼれた。御霊を感じるということはこういうことか。姉二人が最初に洗礼を受け、のちに中三で自身も洗礼を受ける。
バスケットボール推薦で全国強豪の高校へ進学。寮生活でスポーツに専念し、全国大会にも出た。高校卒業後、大泉町にもどり、伝道にいく準備に取り掛かる。任地は仙台。1年半東北に住んで実際に被災された方々の話を聞いた。「その人たちの分も頑張って生きよう」と自身の中で決意をしたという。フルタイム宣教師から帰還後、大泉町役場の通訳、福祉関係の仕事などを経て現在に至る。
教会のブラジルコミュニティは増加の一途をたどる。ブルーナの現在の責任はセミナリー教師だが、対象となる生徒は全国にある教会員のブラジルコミュニティの生徒10人。生徒の居住地は地元大泉町、金沢市、浜松市、名古屋市、犬山市、京都市と随所にわたる。
ブラジルコミュニティの教会員のために何か伝えたいことは、という問いに対し「大泉町を含む日本に住むブラジル人たちは2交代制の仕事に従事する者も多く、生活に余裕のないものも多い。日本に住むブラジル教会員への理解をもっと得たい。」という。二つの文化に生き二つの故郷を持つことを誇りに思うブルーナはブラジル人らしい底抜けに明るい性格をもちつつ、日本人の繊細さも併せもつ。フルタイム宣教師の時の、証を人々に伝えるその姿にも、「二つの文化を知るハイブリッドさから来る大きな勢いがあった」(関口治旧仙台伝道会長(当時))。この秋、ブルーナは米国ブリガムヤング大学ハワイ校へ進学し、さらに進化し続ける。