ニュースリリース

大分のヘルピングハンズ、コロナ禍で経済的にひっ迫する地元大学の留学生に向けて食糧支援を行う

2021年1月から3月にかけて、熊本ステーク大分ワード及び別府グループのヘルピングハンズ*1が、立命館アジア太平洋大学の学生支援組織「APUハンズ」と連携し、コロナのために職を失い、経済的にひっ迫する留学生への食糧支援を行った。
 
立命館アジア太平洋大学(以下APU)は、国際相互理解、アジア太平洋の未来創造を基本理念として創設された私立大学である。学生の半数近くが国外からの留学生であり、教員も約半数が外国籍という多文化共生キャンパスは、イギリスの高等教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』発表の「世界大学ランキング日本版2020」私立大学部門総合順位において西日本で1位を獲得する等、国内外から高い評価を得ている。
  
APUの立地する別府市は別府温泉を有する国内屈指の温泉郷であり、留学生たちは観光施設で働き、学資を得てきた。しかしコロナ禍の非常事態宣言により、日本中の観光地から人影が消えた。別府市も例外ではなく、観光客の減少に伴い多くの学生が働き口を失った。中には家賃が払えず、アパートを退去し公園で寝泊まりしていた学生もいた。
学生たちの窮状を知ったAPUの卒業生たちは、支援組織「APUハンズ」を立ち上げ、大学と連携しながら、経済的に困窮する留学生への支援を始めた。2020年の秋にこの取り組みを知った教会福祉自立サービス部と大分ワード*2は、APUハンズに連絡を取り、ニーズを確認したうえで、食糧とボランティア人員の提供ができるのではないか、と感じた。
  
支援は毎月第2週目の月曜から金曜日にかけて、学内の交流施設「APUプラザ」にて食料を配布するという形で行われており、ヘルピングハンズは支援食糧の調達、配布会場設営、配布時の受け渡しサポートを行った。
支援にあたっての懸案事項は、海外から来た留学生に好まれる食材は何なのか、ということだった。大分ワードの三浦文義ビショップ*3によれば、当初は模索する日々が続いたという。
「2週間くらいいろいろなお店を回って食材探しをしました。地元のスーパーに行って、留学生の方が来られると、お話させてもらってリサーチしましたね。彼らが好みの味付けにできるように、なるべく味のついてないもの、元の形のものを提供するということを心がけました。」
1月から3月までの計3回の支援において教会から提供されたのはコメ3トン、缶詰4500個。地域経済活性化の観点から、食糧はすべて地元の店舗で調達された。
   
2021年3月4日の午前中、最後の会場設営が行われた。APU事務局の前のオープンスペースに受け渡しのための配布場所を作る作業である。朝から集まったのは大分ワードと別府グループの会員あわせて10名ほどで、APU交友会事務局長のショーン・ハンシューさん、事務局員の方々とともに、到着した食料の搬入や仕分けを行った。当日の作業に参加した教会福祉自立サービス部・福祉自立マネージャーの小島淳一郎兄弟は、和やかな空気を感じた。
「ショーンさんと大分の会員の方々が名前で呼び合っていて、良い信頼関係が築かれていることが伺われました。留学生の方にはハラル等の食べ物の配慮が必要な方もいらっしゃいますが、お互いに意思疎通がはかられてスムーズに作業が進んでいました」。 
留学生の中にはイスラム教徒もいる。ハラルによって、食べられる食材や調理法が決められているため、彼らが口にすることができる豆や桃の缶詰、うどん、スパゲッティ、お米などが別に用意され、パッキングされた。
一連の作業は11時30分に終了した。地元の別府グループには、APUに留学してきた教会員が毎年のように礼拝行事に集っているという縁がある。普段からAPUに親しみのある会員たちからは「地元の大学の助けになれて嬉しい」といった声が聞かれた。
 
この3月で食糧支援はいったん終了する。「これからは、APUハンズという卒業生の組織ではなく、学生さんたちご自身で支援組織を立ち上げるという方向でお話が進んでいます」と三浦ビショップ。「まだ企画の段階ですが、私たちも先方のご意向をよく伺って、それに沿う形で引き続きご協力ができたらいいと思っております」。
   
  
  
*1 ヘルピングハンズ ヘルピングハンズ・プログラムは、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員とその隣人たちが協力し合って地域奉仕を提供するもの。ロゴ入りの黄色いビブスがトレードマークである
*2 ワード ワードとは、地域の教会が管轄する一定の地理的範囲「教区」を意味する
*3 ビショップ ビショップとは、地域の教会「ワード」の代表者。専任の聖職者ではなく無給のボランティアとして、教会に来る人々や宣教師を助ける

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.