ニュースリリース

福音にもとづいて、母と子を守る

産婦人科医・鮫島浩二兄弟の立ち上げた「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」が健康・医療活動賞を受賞

2021年4月22日、さめじまボンディングクリニック(埼玉県熊谷市)院長・鮫島浩二兄弟*1(桐生ステーク*2熊谷ワード*3)が理事長を務める「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」(以下あんさん協)が、日本産婦人科学会の令和2年度健康・医療活動賞を受賞した。

  

困難な状況にある母子を守るために連携する組織
あんさん協は、予期せぬ妊娠をした女性を支援し、生まれてくる赤ちゃんのすこやかな成長のために行政と連携、活動することを目的として鮫島兄弟の呼びかけで発足。現在全国22の産婦人科医療機関が加盟している。

7年前の設立以来あんさん協が行ってきた、新生児の虐待死防止のための特別養子縁組*4まで視野にいれた包括的な特定妊婦*5支援が評価され、このたびの受賞となった。

あんさん協では妊娠の経緯や家庭事情など、様々な理由から出産後育児が困難であると予想される特定妊婦を対象に、生まれた子どもの未来まで見すえた支援を続けてきた。
「地方で妊娠して困っている学生の妊婦さんをうちにお迎えして、出産まで面倒を見ることもしています。特殊な状況下で妊娠してしまうと、人目が気になって、おなかが目立つ時期に全く外出しなくなる。知り合いのいないうちの病院の近くを散歩したり、いっしょにおやつを作ったりすることで、こわばっていた妊婦さんたちの心もほぐれていくんです」(鮫島兄弟)。
産後は、母親の気持ちに寄り添いながら、子どもにとって最も望ましい生育環境について一緒に考えていく。母親の希望があれば、あんさん協で加盟している団体と連携して、養子縁組先を探したりもする。

  
コロナ禍で自宅にこもることが増え、若者の望まぬ妊娠が増えてきていると感じた鮫島兄弟は、あんさん協を通じて、去年の12月から新しい取り組みを始めた。
「予期せぬ妊娠で誰にも相談できずに困っている子たちが、なんとか病院に来てくれれば……無料で、保険証もなくても診察するという取り組みを中高生に向けて始めたんです」。
初診料が無料、保険証を持たずに産婦人科にかかることができる。この取り組みを始めると、全国で相談に現れる子どもたちがいた。鮫島兄弟は一定の手ごたえを感じている。
「私たちだけでなく、この取り組みが全国に広がって、ただでもいいから、一度おいでというふうにやっていけば、きっと厚生労働省も動いてくれるのではないかと、みんなに呼びかけをしているところです」。

 

福音は、私たちに人をはぐくむ力と守りを与える
あんさん協で事務長を務める妻の鮫島かをる姉妹は、予期せぬ妊娠をした多くの子どもたちとかかわる中で、福音が与える守りの力強さを実感している。

 
あるとき、鮫島姉妹の元に真夜中に電話がかかってきた。10代で妊娠出産をし、特別養子縁組制度を活用した少女からだった。いとこが結婚して出産したらみんなが祝福してくれて、私の時とは違う対応が悲しい、と嘆く少女に姉妹は伝えた。いとこは結婚して、家庭の中で妊娠したから喜ばれているのであって、あなたは結婚してないし、相手の男性も結婚の意思がなかった。そんな状態で妊娠したら誰も喜べない。だから結婚するまでその力を使ってはいけないんだ、と。
「そうしたらその子は、初めて聞いた。そういうことを学校も親も教えてくれなかったといいました。世間では避妊の技術は教えられても、本当に大事なことは教えられてないんだ、と思ったら、自分と兄弟の使命を改めて感じました。
教会の中で若い女性たちが、純潔の律法*6について学んで育っていくのは本当に幸せなことです。教えられていない子たちは、答えがわからないまま、周りの人を模倣して問題に直面してしまうんです。だから、福音があることはとても自由で守られているし、神様の教えというのは深い深い、幸福になるための教えなんだと思います」。

クリスチャンの医師である鮫島兄弟は、特別な事情のない限り中絶手術を行わないというポリシーのもとにクリニックを運営し、1人でも多くの子どもたちが安定した家庭環境を得られるよう、特別養子縁組制度の活用支援に力を入れてきた。
鮫島兄弟は、教会員の持つクリスチャンの精神は養子縁組の大きな助けになると考えている。
「アメリカなどでは、養子縁組というのは、親子の外見とか全く気にせずやっている。そのベースはキリスト教なんだと思います。私たちはみんな神様の子であるという。日本では自分の血を絶やさないという事を目的として、親戚の中でやってきたので、それは大きな違いです。
人の子を育てていくという高いハードルを越えるのに、クリスチャンの土壌は本当に大きな助けになります。末日聖徒で養子縁組を本気で考えていらっしゃるご夫婦がいらっしゃったら、お手伝いをしたいと思いますので、ぜひコンタクトしてほしいです」。


あんしん母と子の産婦人科連絡協議会

*1 兄弟・姉妹 教会では,すべての人が神の子供たちであるとの教えから,男性を兄弟(Brother),女性を姉妹(Sister)と呼称する
*2 特別養子縁組制度 「「特別養子縁組」とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。」(厚生労働省ホームページより)

*3 ステーク 地元の会員の集まりである「ワード」が集まって構成される, より大きな地域的組織

*4 ワード ワードとは,地域の教会が管轄する一定の地理的範囲「教区」を意味する
*5 特定妊婦 「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」(児童福祉法第6条の3第5項)
*6 純潔の律法 性的な関係は、法律に基づいて結婚した男女間に限るようにという戒め。このほかに、思いや行いを清くたもつことも含まれる

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.